いまさら聞けないPROFINET入門産業用ネットワーク技術解説(3/5 ページ)

» 2015年03月24日 09時00分 公開

PROFINETの特徴

 PROFINETはオートメーションに関する包括的なコンセプトを持ち合わせています。そのため、オートメーションのモジュール化や分散制御を容易に実現できます。PROFINETの技術は次のようなテクノロジから構成されています。非常に柔軟であるため、国際標準として世界中の企業から幅広く採用されています。

PROFINETは100%イーサネットとして使用可能

 PROFINETはIEEE 802.3に完全準拠し、常時全二重通信を行います。イーサネットで実現可能な接続形態(トポロジ)が活用できるため、ライン型、スター型、ツリー型、リング型のネットワーク構築が可能で、機械と工場のネットワークを非常に柔軟に構築できます。

 これら接続は、銅線ケーブル、光ファイバーケーブル、もしくはワイヤレス通信によっても行えます。セキュアなVPN接続経由でのリモートアクセス、タブレット端末を使った診断・生産データへのアクセスも可能です。特筆すべきは、PROFINET上のコントローラーと各機器は基本的に1対1通信を行うため、何らかの理由で1つの機器が異常なデータを流してもネットワーク上の他の通信は継続し続けられることです。

photo 図4:PROFINETによるネットワーク構築の例(クリックで拡大)※出典:シーメンス

あらゆる機器の混在が可能

 PROFINET対応機器だけでなく、パソコンやRFID、スイッチングHUB、ビデオカメラなどを同一ケーブル上に接続できます。1本のケーブル上に複数のコントローラーを接続できるのも特徴です。

 コントローラー上で割り当てた機器だけが制御対象になるため、コントローラーごとにネットワークケーブルを敷設する必要がありません。コントローラー同士の通信も行えます。このように接続が複雑になると機器上のイーサネットポートを目視しても次に接続されている機器を特定するのが困難なケースが生じます。例えば、シーメンス製のPRONETAのように、このような場合にトポロジをオンラインでグラフィックス表示するツールも各種準備されています。

photo 図5:PROFINETによる機器の混在管理のイメージ図(クリックで拡大)※出典:シーメンス

簡単で充実した実用的な診断機能

 PROFINET機器はIT技術で培われたLLDP(Link Layer Discovery Protocol)に対応し、さらに多くの機器がSNMP(Simple Network Management Protocol)にも対応しているため、機器のシンプルな交換作業が行え、診断データをオフィスから取得することもできます。その他、I&Mデータと呼ぶデータは、PROFINET機器に使用場所、設置日時、コメントなどの情報を書き込めるため、保守の場面でも役立てられています。

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