続いては「風神」(風神プロジェクトチーム)と「GANTON-53」(日本大学理工学部精密機械工学科チーム)の対戦だ。日大チームは前回に引き続き、2回目の参戦。一方、風神は今回初出場であるが、キングカイザーとともに、優勝候補にあげる関係者が多かった。
それもそのはず、風神プロジェクトチームを率いるのは網野梓氏。丸氏と同じく、ROBO-ONEで優勝経験がある強豪だ。そして網野氏が設計したロボットの製造を手がけたのは浜野製作所。同社は前回、世界まる見え!テレビ特捜部チームの一員として出場しており、巨大ロボット作りのノウハウがある。その両者が組んだのだから、強いのはある意味当然だ。
「風神」を名乗ることから分かるように、このロボットの特徴は風を利用した強力な必殺技である。ダクテッドファンを装着したランチャーが左右両側に備わっており、強力なエアフローによって、ボールをなんと300発も撃ち出すことが可能だという。この「乱風ガトリング」は恐らく、歴代(といっても2回しかないが)の必殺技の中でも、攻撃力はナンバーワンだろう。
そしてパワーも強力だ。搭載されているモーターは本来、産業用ロボット向けのものだとか。パワーがあって危ないので、工場などでは通常、周りを柵で囲って立ち入り禁止にするレベルのモーターだという。さらにボルトが飛び出た拳を高速に回転させることで、接触したコアを確実に破壊。可愛い外見とは裏腹に、攻撃は全く容赦がないロボットである。
対するGANTON-53は、前回出場の「GANTON-52」と名前は似ているものの、全く別物のロボットである。GANTON-52はガソリンエンジンを搭載する油圧駆動ロボットというのが大きな特徴だった。しかし屋内で動かすには、排気ガスに注意する必要があり、消防法の規制も受けるなど、扱いにくかった。そのため、GANTON-53は他のロボットと同じような電気駆動に変更している。
GANTON-53の特徴は6本腕を持つこと。下の2本は必殺技の「ギガントンズームパンチ」になっており、するするっと腕を伸ばすことで、遠距離からコアを狙う。また上の2本がメインアームなのだが、この動かし方がユニーク。操縦者の腕に9軸のモーションセンサー(加速度+ジャイロ+コンパス)を貼り付け、そのデータから腕の曲げ具合を検出して、モーターを動かす。マスタースレーブの一種だが、大がかりな装置が不要な点が面白い。
試合は10対2で風神の完勝。ブーストを発動した風神に対し、接近戦に持ち込むことを選んだGANTONだったが、近距離はむしろ風神の間合い。カウンターで逆に大打撃を被ることになってしまった。またGANTONは外装が取れやすいのも弱点だった。パンチの衝撃で、なんと外装がコアごと落下。これでもコアを破壊されたことになり、不必要な失点を重ねたのはもったいなかった。
(後編に続く)
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