1回戦の第1試合は、「グレートキングカイザーZ」(マルファミリーチーム)対「オプティマスプライム」(千葉工業大学・トランスフォーマーチーム)。前回準優勝のキングカイザーに、初出場の大学・企業コラボチームが挑む形だ。前回「鉄人10号」とのヒーローロボット対決を制したキングカイザーだが、またしても初戦からヒーローロボット対決である。
マルファミリーは2足歩行ロボットによる格闘技大会「ROBO-ONE」で一時代を築いた強豪。父親の丸直樹氏がロボットを作り、子供達が操縦するというスタイルは従来と同じだが、リアルロボットバトルでは、長男が下半身、二男が上半身、末っ子の三男が必殺技と、操縦を分担している。上半身の操縦方法はマスタースレーブ方式だ。
前回の雪辱を果たすために、機体を大幅にパワーアップ。準優勝機の「キングカイザーZ」からは下半身のフレームだけを残し、それ以外は全て新規開発したという。もともと速くて強いロボットだったのだが、さらに機動力が7割、パワーが5割アップしたそうだ。
対するのは、ロボットサッカーの競技会「RoboCup」で現在の世界王者である千葉工大の林原靖男教授と、タカラトミーがタッグを組んだチーム。ロボットアニメ「トランスフォーマー」に登場する総司令官・オプティマスプライム(コンボイ)を開発したのだが、驚くのはこのロボット、自動車形態からロボット形態への変更が可能なことだ。
しかしこの変形が実現したのは、実は林原教授の"早とちり"が原因だったという。最初にタカラトミー側からロボット開発の打診があったときに、林原教授は「トランスフォーマーなんだから変形が必要」と思い込み、技術的に検討。「できそうだ」と伝えたところ、なんと先方は変形までは考えておらず、驚かれたとか。
変形はバトルの開始前に1回行うだけで、バトル中には使わない。バトルには本来、全く不要な機能である。しかも搭載したモーター34個のうち、バトルで使うのは11個だけで、残りは全部変形用なのだという。これには林原教授も「しなくてもいい苦労をしてしまった」と苦笑い。
RoboCupで培った自律機能を取り入れたのもオプティマスプライムの特徴だ。股間にレーザーレンジファインダーが搭載されており、相手との距離を常時計測。防御時には相手との間合いを一定に保ち、パンチから逃げることができる。
キングカイザーとの一戦でも、この仕組みが有効に機能。序盤では、キングカイザーのパンチを紙一重でかわす場面も見られた。しかしキングカイザーのスピードが速すぎてオプティマスプライムの回避が間に合わず、パンチが当たり始めると一方的な展開に。間合いをゼロに設定する捨て身の戦法で最後に一矢を報いたものの、9対1の大差でキングカイザーが勝利した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.