トヨタ自動車と日野自動車は、燃料電池バス「トヨタ FC BUS(以下、FCバス)」を新開発した。セダンタイプの燃料電池車「ミライ」の燃料電池システム2台分に加えて、耐圧70Mpa水素タンクを8本搭載。満タン状態からの走行距離は150kmとなっている。
トヨタ自動車と日野自動車は2015年1月8日、セダンタイプの燃料電池車「ミライ」と同じ燃料電池システムを搭載する燃料電池バス「トヨタ FC BUS(以下、FCバス)」を新開発したと発表した。同年1月9日から、豊田市内を走る路線バス「とよたおいでんバス」の「豊田東環状線」(豊田市〜三河豊田駅前)を1日3往復する営業運転を始める。
FCバスは、日野自動車のハイブリッド路線バス「ブルーリボンシティハイブリッド」をベースに、ミライの量産に向けてトヨタ自動車が開発した燃料電池システム「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」を採用している。
ただし、外形寸法が全長1万525×全幅2490×全高3340mmとミライよりはるかに大きく、定員も77人(座席26人、立席50人、乗員1人)と多いFCバスを動かすには、1系統のTFCSでは出力が足りない。そこで、燃料電池スタックとモーターはTFCSで用いているものを2個搭載している。FCスタックの最高出力は114kW×2の228kWで、モーターは最高出力が110kW×2の220kW、最大トルクは335Nm×2の670Nmとなっている。
耐圧70MPaの水素タンクは8本使っており容積は総計で480l。この容積はミライの約4倍に当たる。満タン状態からの走行距離は約150kmである(トヨタ自動車社内の測定基準による)。水素の充てんは、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の実証研究に用いられてきた、とよたエコフルタウン水素ステーションを使用する。
この他、燃料電池スタックからの電力を車両外部に供給するV2Hシステムとして、2013年11月から日野自動車が行っている実証実験の結果を反映し改良したものを搭載した(関連記事:燃料電池バスから電力を供給、災害時は体育館の照明を5日間点灯可能な電源車に)。最高出力は9.8kW、出力電圧は直流で300Vとなっている。
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