今後の「モノづくり」のあり方に大きな影響を与えそうな技術としては、3Dプリンタが代表的なモノの1つとして挙げられている。ものづくり白書によれば、3Dプリンタに代表される付加製造(Additive Manufacturing)技術には、以下の2つの重要な可能性があるという。
ものづくり白書では「3Dプリンタなどの新たな製造技術は、医療・航空機などさまざまな分野への適用が進み、2020年には21.8兆円規模の経済波及効果(製品関連市場10兆7000億円・生産革新効果10兆1000億円)を世界にもたらす」と期待する。ただし、日本での3Dプリンタの活用はさほど進展しておらず「業務で本格的に利用している」のは大企業で全体の20%弱、中小企業は4.5%でしかないという(図5)。
また、3Dプリンタの生産シェアに関しても、日本はわずかに3.3%。71.2%のシェアを持つ米国にかなり引き離されているのが現状だ(図6)。
ものづくり白書では、「こうした立ち遅れを解消し、日本が3Dプリンタの開発と市場をリードすべき」と強調している。だが、現実的には同技術に対する日本の製造業の取り組みは「まだこれから」という領域に留まっている(図7)。積極的にさまざまな領域での活用を進めている米国とは異なり、開拓意欲もそれほど強くないため、3Dプリンタの現状の適応領域も、既に以前から利用が進んでいた試作品の開発がほとんどを占め、限定的となっている。
企業が3Dプリンタを本格活用する上での課題として挙がっているのが「3Dプリンタで取り扱える材料上の制約」と「3Dプリンタで作られた製品の品質が不十分」という点だ(図8)。これらは大企業、中小企業ともに課題として挙げたところが多かった。一方で中小企業の多くが課題として挙げているのが「3次元CADなどのソフトウェアを使いこなせない」「3Dプリンタが高額」という点である。3Dプリンタは本来、中小企業にとって利点が大きいといわれてきたが、現実的にはまだまだ中小企業にとっては負担が大きいものだということが明らかになっている。
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