日本の防衛を支える最新テクノロジー「クラウド・シューティング」って知ってる?(2/4 ページ)

» 2014年11月19日 11時00分 公開
[陰山遼将,MONOist]

次世代戦闘機「i3 FIGHTER」とは?

 2015年度概算要求では、「日本国内における次世代戦闘機に関する技術の蓄積・高度化を目的とする実証研究」に対して、412億円の予算が計上されている。これは防衛省が2010年に公開した「将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン」に基づくものと考えられる。

 同ビジョンは、現在配備されている戦闘機「F-2」の後継機として、日本の先端技術を投入した国産の第6世代戦闘機、通称「i3 FIGHTER」(以下、i3)の開発を提唱するものだ。こうした次世代戦闘機の開発に関する取り組みの背景には、日本国内における防衛関連技術の開発・育成といった狙いもある。

「i3 FIGHTER」のコンセプト(クリックで拡大)出典:防衛省

 i3という名称は、「高度に情報化(Informed)/知能化(Intelligent)され、瞬時(Instantaneous)に敵をたたく」という3つ開発コンセプトの頭文字に由来する。i3の具体的な特徴として、高度なステルス機能、次世代エンジン及びハイパワー・レーダーの搭載などが挙げられる。ステルス機能を担う本体部分の材料には、SiC(炭化ケイ素)や電波の方向を曲げる特性を持ったメタマテリアルを、ハイパワー・レーダーにはGaN(窒化ガリウム)パワー半導体を使用するなど、日本国内の技術を利用することに重点が置かれている。

3 FIGHTER」のコンセプト(クリックで拡大)出典:防衛省
防衛省が2014年5月に公開した「先進技術実証機」 出典:防衛省

 先端技術を集約したi3は、ネットワークで接続された戦闘機、大型機、無人機などと連携して攻撃を行う「クラウド・シューティング」という攻撃方法や、強力な電磁波によって対象内の電子機器の故障を誘発するといった機能の搭載が予定されている。防衛省は2014年5月に、こうした次世代戦闘機に採用予定のさまざまな先進技術の実証研究を目的に、「先進技術実証機」として開発した初の国産ステルス戦闘機を公開している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.