京子たち三立精機の制御設計チームは、モデルベース開発を活用して、ついに変速機「CVT∞」の制御ソフトウェアを完成させた。しかし、この制御ソフトウェアがきちんと動くことを確認するためにはテストを行う必要がある。ソフトウェア単体から実車を使ったものまで、さまざまなテストが待ち受けているのだ。
ついに、ハイブリッド車「バンビーナ」が燃費世界一を目指す上で重要な役割を果たす変速機「CVT∞」の制御設計を始めることになった、京子たち三立精機の制御設計チーム。悪戦苦闘しながらも、制御モデルの設計やECUへのソフトウェア組み込みなどの作業を着実に進めていく……(前回の記事へ)。
ECU(電子制御ユニット)のソフトウェア検証は、引き続きソフトウェアチームで実施し、坂田さんがそのリーダーになって進めることになった。
大島さん、ソースプログラムの生成も終わりコンパイル・リンクも確認しました。単体テストもこれからなのですが、検証をどうしましょうか?
モデルベース開発だからといってソフトウェアの品質確認で手を抜いて良いわけじゃありません。これまで積み上げてきた品質基準を順守する必要があります。その中でモデルベース開発の上流成果物であるモデルとテストデータを、各種ツールに適用するなど有効活用し効率向上につなげることが可能です。その観点でテスト計画を確認させてください。
テスト計画は、この通りです。
このテスト計画では、モジュール単位の単体テスト、複数モジュールを組み合せて実施する組み合せテスト、ECUで実施する統合テストとも従来通りで特に問題ないと思います。テストツールについても、先般モデルベース開発対応で導入したものが準備されているので問題ないと思います。
テストツールはまだ使い慣れていないので、習熟を含めてチョット時間がかかるかもしれません。
ツールは、基本的に効率向上につながるものなので積極的に利用してください。
テスト仕様書のレビューも従来通りでいいでしょうか?
テスト仕様書は、共同で見直しレビューさせてください。くどいようですがHILSで利用したシミュレーションデータなどを活用する観点で確認したいと思います。
了解です。単体テストは、モデルベース開発の場合、モデルとコードの一致性確認でよいのですか?
基本的にそうです。モデルとオブジェクトモジュールの等価性確認では、テストデータのカバレッジ(網羅率)が重要でしょう。さらに、HILSで利用したテストデータに対して追加が必要な場合もあるかもしれません。
コンパイルしたオブジェクトモジュールでテストしないとならないし、カバレッジを満足するテストデータを人手で作成するのも大変そうだ。カバレッジを人手で計測するのも困難ですね。それで、今回各種ツールを導入したんですね?
モデルベース開発は、各種ツールがあって成立するものです。ぜひ効率的に運用してください。
了解しました。
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