こうした例の1つがFlightradar24 ABの提供する航空機のトラッキングサービス「FlightRader24」である。
民間航空機は現在位置をADS-B(Automatic Dependent Surveillance - Broadcast)やMLAT(Multilateration)などで一般公開しており、FlightRader24はこのデータをクラウドに集約、現在位置を計算してGoogle Map上にマッピング、表示するサービスである。
さまざまなデータ(この場合で言えば民間航空機の位置情報)を誰でもアクセスできる形でクラウドサービスに置くまでがIoTの領分で、その先はむしろビッグデータ的な領分に入ってくるのだが、このサービスは両方が無いと成立しないものだし、そもそもADS-BやMLATなどのデータを収集して公開しているFAAにしても、FlightRader24のためにこのデータを公開した訳ではない。どう使われるかは利用者の自由に任せることにして公開し、あとからこれを使ったサービスが立ち上がるという形である。
これはIoT+ビッグデータの使い方としては良くあるパターンであり、さまざまなIoT関連デバイスにしても、同様のシナリオを期待して多種多彩なデータをクラウド側に置く方向性になってきている。
もちろん、何でもかんでもパブリッククラウドに開放状態でというワケではなく、プライベートクラウドを使ったり、セキュア化を行ったりという形でデータ保護を行う場合も少なくない。ただ、以前のM2Mの時代では、専用回線を用意するために少なからぬ通信コストが要求されていたのが、今は普通にインターネットの上でVPNなどを経由する形で低コストの通信ができるようになったから、以前よりはるかにデータを収集しやすくなったのは間違いない。
さて、こうした昨今の動向を受けて、昨年あたりからさまざまな企業が急に業界団体を作り始めている。ざっと目に付いた団体とその創立メンバーを並べるだけでも、「Thread Group」(ARM、Big Ass Fans、Freescale Semiconductor、Nest Labs、Samsung Electronics、Silicon Labs、Yale Security)、「Open Interconnect Consortium(OIC)」(Atmel、Broadcom、Dell、Intel、Samsung Electronics、Wind River)、「Industrial Internet Consortium(IIC)」(AT&T、Cisco Systems、General Electric、Intel、IBM)、「AllSeen Alliance」(Haier、LG Electronics、Panasonic、Qualcomm、Sharp、Silicon Image、TP-LINK)といった具合で、複数団体の創立メンバーになっている企業も複数ある。
なぜこのような団体が同時期に作られ(大体設立は2013〜2014年にかけてである)、さまざまなプロモーションやら標準化やらを始めているか、というあたりがIoTの特徴の鍵になるのだが、それは次回に。
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