「コンボ」のプロトコルと充電シーケンスEV用充電器の通信規格ISO/IEC 15118とは(後編)(3/4 ページ)

» 2014年09月03日 10時00分 公開

充電パラメータとスケジュールの設定(手順⑨、⑩、⑪、⑫)

 充電パラメータには、車両または充電スポットが対応可能な充電電流値、電圧値、車両の出発までの時間、充電方式、供給可能な電力と時間帯などがあります。また、電力の料金表の情報には料金レベルや電力コスト(kWh当たりの料金、自然エネルギーの使用割合、CO2排出量)などさまざまなパラメータがあります。

 これらのパラメータを決めるために、まず車両から充電状態、充電方式、許容できる充電電流値、電力量、電圧値などの要求情報を送ります。それに対して充電スポットは、充電スポットの能力を示す最大供給電流値や電圧値など一般的な充電パラメータに加えて、供給可能な最大電力量とその時間帯、さらに必要に応じて料金表を送信します(手順⑨)。

 次にDC充電の場合は、ケーブルのチェックとプリチャージを行います(手順⑩、⑪)。

 その後、車両が要求する時間ごとの電力情報が含まれる充電プロファイルを送信し、充電スポット側が要求された充電プロファイルを受け入れれば肯定応答を返します(手順⑫)。

 なお、AC充電(いわゆる普通充電)の場合はケーブルチェックとプリチャージの手順はありません。

 また、電力供給の不足が発生した場合や他の要因で消費電力が増えた場合などは、パラメータとスケジュールを再設定することもできます。

 ISO/IEC 15118では、このような処理によってユーザーの要望に合わせた最適な電力供給を実現できる仕組みを規定しています。充電パラメータとスケジュールの設定が完了した後は、充電制御を行うシーケンスに移行します。

充電パラメータとスケジュールの設定 充電パラメータとスケジュールの設定(クリックで拡大)

充電制御(手順⑫)

 充電制御のメッセージはDC充電とAC充電で少し異なります。

 DC充電の場合は、車両側が周期的に確認する必要がある電流値と電圧値などを送信し、充電スポットはそれを受信後、現在の出力電流値と電圧値、必要に応じて電力メーターなどの情報を返します(手順⑫)。

 一方、AC充電の場合、正しい通信と充電ができていることを確認するために、車両から周期的に現在の充電ステータスを充電スポットに要求します。充電スポットは、現在の状態と必要に応じて電力メーターの情報を送信します(手順⑫のACの場合)。

 DC充電またはAC充電でPnC方式の認証を選択した場合、車両はメーター情報を受け取ったことを通知するためにメーター情報に対する署名情報を送信します。署名情報を受信した充電スポットは、それをメーター情報受領メッセージに追加し、受信した電力メーターとともに送信します。そして充電スポットまたは電力網側のサーバは、受信した署名情報の正当性を確認します。

 充電により目標とする充電量になれば、次は充電を終了する処理に移行します。

充電制御 DC方式とAC方式の充電制御(クリックで拡大)

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