豊産自動車とのすり合わせを終え、三立精機社内での量産に向けた制御開発が本格的に始まった。制御設計チームとしてはまず、顧客モデルの組み込み課題を抽出し解決することが必要だった。
小さめの制御部分を選んで作成したモデルによる試行では、生成したソースプログラムの組み込みに工数がかかりました。
それに加えて、効率的なソースプログラムの生成も重要だな。ソフトウェアチームと共同でこれらの課題について対策してほしい。ソフトウェアチームにはもう話はつけてあるから。
私は、ソフトウェアチームと何度も検討を重ね、生成したソースプログラムを手作業なしに組み込める方式を考案した。ただしこの方式は、自動コード生成ツールをカスタマイズするとともに、モデルの記述方法を制限する必要がある。データ辞書は、豊産自動車と取り決めた従来のもので特に問題がないことが分かった。
モデルのスタイルガイドラインについては分からないことがあったので、あらためて豊産自動車の鈴木さんに相談することにした。
モデルの構造と品質を考慮すると、当然モデルのスタイルガイドラインが必要ですね。現状はJMAABのスタイルガイドラインをベースにしたものを作成してあるだけで、ソースプログラムの自動生成については考慮していません。早速、共通で使えるスタイルガイドラインに改善しましょう。
豊産自動車の対応はとてもスピーディーで、従来のものから改善されたバンビーナ専用のスタイルガイドラインが整備され、モデルベース開発に関わるサプライヤに通達された。
モデルベース開発は、モデルを活用するというだけでなく、従来とは開発プロセスが大幅に変わるね。
要求仕様を制御機能として分割/統合して、モデルの構造を考えるのが重要なんですね?
いきなりモデルベース開発ツールを使うのではなく、要求仕様と制御対象を十分理解してから制御設計を行った上でモデルを作成する。さらに十分なシミュレーション、テストも必要だろう。テスト結果は、モデルから生成したソースプログラムを検証する上で重要だからな。要求仕様を検証するための条件を網羅したテストシナリオを作成して実施することが必要だろ?
シミュレーションで関連制御定数も決まりますね。
モデルだけでなく、シミュレーション結果もレビューするから、レビュー品質も高まるしね。
豊産自動車の提示モデルについては、モデルと生成したソースプログラムとの等価性チェックだけでいいですか?
プラントモデルでの検証も必要だよ。それも、サプライヤとしての価値だな。
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