カスタマイズ用途としてMSYSブースで紹介されていたのが、セグウェイのカスタマイズパーツだ(関連記事:3Dプリンタとセグウェイがコラボレーション!――丸紅情報システムズ)。セグウェイは、電動立ち乗り二輪車で、現在、つくば市の「モビリティロボット実験特区」で公道実験が行われている。標準モデルではライトなどもない状態だが、展示されたものにはホイールカバー、正面および床下のライト、「iPhone」の固定台、正面に向いた「iPad」の固定台などのカスタマイズパーツが付けられていた。
MSYSとセグウェイジャパンが提携して、今後約1年かけて用途およびデザインを詰めていくという。セグウェイの乗り手とそれ以外とのコミュニケーションがとりやすいというメリットを生かし、移動手段にとどまらない“コミュニケーションツール”として活用していく方針だ。
まずは、走行許可の必要ないイベントやアミューズメントパーク、ショッピングモールなどでの案内や警備での活用を想定している。3Dプリンタの特性を生かして、イベントごと、または1台ずつカスタマイズしたパーツを考えていきたいとしている。
ユニークな出力品だったのが、MSYSに展示されていたトポロジー最適化を用いて設計した構造を持つマルチコプターだ。
トポロジー最適化は、コンピュータによって、より適した設計を行う最適化手法の1つで、中抜きも含めた形状を生成できるのが特徴だ。今までになかったような設計アイデアが出せる半面、通常の加工方法では作れないような複雑な形状も設計できてしまうという問題もある。
だが、3Dプリンタであれば比較的複雑な形状でも出力できることが多い。同社は、アルテアエンジニアリングのトポロジー最適化を行う構想設計ソフトウェア「Inspire」によって、自動生成された形状をそのまま3Dプリンタで一体成型した。
一方、3Dプリンタ製品は宇宙にも進出しつつある。多摩美術大学と東京大学が協力して進める「アート×深宇宙」プロジェクトは、宇宙に衛星を打ち上げ、深宇宙空間で得られたデータをアート作品作りに生かそうという試みだ。
デザインは多摩美大が担当している。造形部分に3Dプリンタによる出力部品を用いており、3Dプリンタだからこそ作れる形状をデザインしたという。米3D Systems製の粉末焼結式「Prox 500」で出力されている。製法上、中が密な状態ではないため、シーリングのために特殊コーティングをしているという。材料は強度の高い12ナイロンを用いている。振動など宇宙に持っていくための試験は既にクリアしているとのことだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.