ここまで紹介したDynamic Environmentは、静的な舞台装置を対象としたものだ。これを「動き」と組み合わせ、インタラクティブ性を持たせるとどうなるだろうか。ミネ氏は、ディズニーが2009年に発表した「The Storytellers Sandbox」を紹介した。
The Storytellers Sandboxは、砂場の上からプロジェクターで投影することで、砂遊びにインタタラクティブ性を持たせたものだ。例えば、砂で山を作ると、そこから溶岩が流れてきたり、魔法のつえやランプをかざすと、砂浜で生まれた子亀が集まってきたりと、不思議な効果を体験できる。
このような組み合わせは、既にディズニーのテーマパークでも展開済みだ。東京ディズニーランドで2012年にオープンした「グーフィーのペイント&プレイハウス」では、来場者がペイントマシンを使って、インタラクティブに部屋の模様替えができるようになっている。
ミネ氏は続いて、ディズニーの仮想現実(VR:Virtual Reality)への取り組みを紹介する。
ディズニーのVRの歴史は古く、ディズニー・イマジニアリングでは1992年にVRスタジオを設け、テーマパークへの応用を研究し始めている。1998年6月には米国フロリダ州オーランドのウォルト・ディズニー・ワールド内に屋内型エンターテインメント施設「ディズニー・クエスト」をオープンさせており、ミネ氏が手掛けた「アラジンの魔法の絨毯(Aladdin's Magic Carpet Ride)」や「カリブの海賊:バッカニア・ゴールドの戦い(Pirates of the Caribbean: Battle for Buccaneer Gold)」などのバーチャルアトラクションが楽しめる。
この実験的な試みで、ディズニーはオペレーションの重要性と、デザインの重要性を知る。ヘッドマウントディスプレイは短時間に複数の人が使うことになるため、洗浄が容易にできるか、充電は素早く可能かなどが課題となる。ディズニーにおいては、何千人も来るゲストの健康と安全を保つことが最優先事項だからだ。
デザインの重要性においては、ヘッドマウントディスプレイを付けた人がどのような動きをするのか、予測できない点が課題であったという。そのデザインの点で成功したといえるのが「カリブの海賊」だ。上記動画にもあるように船の形のプラットフォームを、かじ取りや大砲を操作しながらバトルを楽しむ内容になっている。ミネ氏によると、場面によっては砲台を移動しながらのプレイが必要となり、全身を使ったインタラクションができることが成功ポイントだったという。
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