JMAABオープンカンファレンスは、豊産自動車でモデルベース開発を推進している谷田様の講演から始まった。
自動車というシステムの理想的な開発手法の提案ということで、モデルベース開発の概念や、実際に使われている仕様書などが発表された。また、他の自動車メーカーにおける、モデルベース開発を活用した先進的な事例の紹介もあった。
自動車メーカーの取り組みは進んでるんだなぁ。確かに凄そうなんだけど、何から始めればいいのか全然分からないよ……
カンファレンス終了後、ロビーのカフェでため息をついていると、聞き覚えのある声がした。
あれ、京子じゃん。久しぶり。お前、どこに就職したの?
大学の先輩で、豊産自動車に就職した鈴木斗人さんだった。
三立精機です。今年から豊産自動車の新開発車両用CVTの開発プロジェクトのメンバーになりました。
まさか、サンバ踊ったりしないよね?
えっ、リオのカーニバルとうかがってますけど?
じゃあバンビーナか。俺も担当だよ。実は俺、谷田さんの下で、モデルベース開発を使った制御システムの開発をやってるんだ。モデルベース開発ってかなり手ごわいけどやりがいあるぜ。
あの! ……もう少し詳しく教えて頂けませんか? モデルベース開発のこと。
かなりドキドキしながら、思い切って聞いてみた。
そうだな……1時間くらいならいいよ。
まず鈴木さんは、バンビーナの企画内容や、開発規模が肥大化する一方で開発期間は短縮しなければならないという自動車メーカーが直面している困りごとなどを交えながら、モデルベース開発のことについて説明してくれた。
バンビーナの開発に関わることで、俺たちの目指すことが分かってくると思うよ。ぜひ京子の力も貸してくれ。相談にはいつでも乗るし。
私は帰りの本屋で、モデルベース開発の参考書を手に取って誓った。
全力で走ってみよう! でも、前のめりすぎて転ばないようにしないと!
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