ETロボコン実行委員会は「ETロボコン2014」開催説明会を実施。「アーキテクト部門」が新設された前回大会と同様、2014年大会も走行競技の内容が一部変更され、さらに新走行体「NXTrike」も登場する。
ETロボコン実行委員会は2014年2月14日、「ETロボコン2014(正式名称:ETソフトウェアデザインロボットコンテスト 2014)」の開催に向けた記者説明会を開催した。
ETロボコンは、組み込みエンジニアの人材育成と教育機会の創出を目的とするロボットコンテスト(以下、ロボコン)だ。一般的なロボコンとは異なり、同じ走行体(ハードウェア)を用い、ソフトウェアおよびモデリングの良しあしを競い合う「ソフトウェア重視」のコンテストとして知られている。全国11地区の予選大会を勝ち残ったチームが、チャンピオンシップ大会への出場権を得ることができる。
ETロボコン実行委員会は前回(2013年)大会から「5年後、15年後に活躍するエンジニアを育てよう!」のスローガン(関連記事:今度のETロボコンは“2部門制”に! レッドカーペットで自らを表現せよ)の下、「システムの企画・立案ができるエンジニアの育成」にも力を入れ、走行競技会に「アーキテクト部門」を新設。従来のライントレースおよび難所攻めを行う「デベロッパー部門」との2部門制で取り行われることとなった(関連記事:魅せる! 笑わせる! 新設「アーキテクト部門」に大注目 〜ETロボコン2013チャンピオンシップ大会〜)。「アーキテクト部門は、運営側も出場者側も初めてのことで、どうなるか心配もあったが、予想以上に盛り上がった。さらにブラッシュアップして発展させていく予定だ。一方、歴史の長いデベロッパー部門はその良さとともに、幾つかの課題も見えてきた」と、ETロボコン本部運営委員長の小林靖英氏は前回大会を振り返る。
デベロッパー部門の大きな課題として挙げられるのは、初出場チームと参加常連チームとのレベル差だ。これはETロボコンに限った話ではないかもしれないが、参加常連チームの多くは、前回出場したメンバーから資産(ソフトウェアやモデル、ノウハウ)を引き継いでおり、「少しパラメータを変えるだけで、すぐに高速走行ができてしまうケースがよくある」(小林氏)という。また、モデリングの面でもこれだけ大会の歴史が長いと、各チームのモデルが似たようなものになりがち(“金太郎飴”状態)で、「斬新さに欠けてきている」と小林氏は指摘する。
こうした課題に対し、これまでの良さを残しつつ、新たな課題に挑戦できるようデベロッパー部門を「プライマリークラス」と「アドバンストクラス」の2クラス制に変更。2014年大会からETロボコンは“2部門3クラス制”で開催することに決定した。
プライマリークラスは、従来のデベロッパー部門を踏襲した部門であり、初出場や初心者を対象にしたクラスである。「先輩から受け継いだソースコードやモデルを“見て・まねて・考える”ことも基礎を学ぶためには必要。難所の難易度を下げ、初級レベルの位置付けとしている」(小林氏)。
これに対し、よりスキルを磨き、応用力を付けることを目的に新設されたのが、アドバンストクラスだ。こちらは開発現場でよく発生する“理不尽な仕様変更”にも応えられる力を身に付けてもらうためのクラスであり、難しい難所が設定されている他、大会当日にならないと分からない急な仕様変更が課題として設定されている(なお、アーキテクト部門に関しては、前回大会を踏襲するとのことなので説明は割愛する)。
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