富士通とNECが、それぞれ製造業支援サービスの幅を広げている。ICTだけでなく製造ノウハウ提供まで含めた総合サポートの体系化を進める一方、EMS(電子機器受託製造サービス)や部品提供などにも取り組む。
富士通とNECが、それぞれ製造業支援サービスの幅を広げている。もともと富士通が「ものづくりソリューション」、NECが「ものづくり共創プログラム」としてここ数年展開を強化。ICTだけではなく製造業としてのノウハウも合わせた総合ソリューションとして取り組みを進めているが、新たにEMS(電子機器受託製造サービス)や試作サービスなどを開始し、サービス内容の拡充を進めている(関連記事:富士通、製造業支援を強化――3Dプリンタ試作やビッグデータ分析、製造受託も、NECがモノづくりのノウハウ提供を拡大、3Dプリンタ試作やM2M、デザインも)。
NECは2013年11月13日、同社が取り組む受託製造サービスを一堂に集めた「NEC ODM/EMS ShowCase 2013 − 開発製造受託サービス 展示会&セミナー −」を開催した。同社は「ものづくり共創プログラム」として、モノづくりのプロセス改革やITシステムの導入、コンサルテーション、モノづくりのノウハウ提供まで、モノづくりに関連する全ての領域をカバーし一貫してサポートする取り組みを2012年10月から開始している(関連記事:モノづくりを丸ごとサポート!――NEC、「ものづくり共創プログラム」を出展)。
「開始以降の引き合いは非常に強い」(NEC 理事 第一製造業ソリューション事業部長 松下裕氏)とし、モノづくりのノウハウに関する情報共有を行うユーザー会の会員数も順調に拡大。「会員企業は1年間で350社以上となっている。中小企業だけでなく大手企業も多く参加している。今後はさらにノウハウ提供の幅を広げていく」と松下氏は話している。
今回はこのものづくり共創プログラムの幅を広げ、製造受託サービス、設計・開発受託サービスにも積極的に取り組む姿勢を示したものだ。同社の設計・開発、生産リソースを生かした、ボード製造受託サービス、カスタム電源設計・製造サービス、車載部品製造サービス、フルサービスEMSなどを行っていく。
セミナーでは、同社の開発拠点や製造拠点が持つ、多品種変量、短納期、長期供給、高品質などの生産対応力や、障害原因解析、トレーサビリティ、部品調達力など、モノづくり力の強さをアピールした。
また、ものづくり共創プログラムにおける、提供ノウハウとして、同社が展開してきた生産革新の歩みを紹介。同社は1990年代初頭まで計画(押し込み型)生産を行っていたが、見込みとのズレにより「在庫は増えるが、欠品が発生する」という状況が続いていた。これらの状況を解消するために1993年から生産革新活動を開始。1997年にトヨタ生産方式を導入し、2000年にはSCM生産革新活動を展開するなど、生産効率の向上に取り組んできた。
同社 生産本部 本部長の久保田紀行氏は「生産革新活動の基本として『(短く単純な)“流れ”を作る』ことを指針とした。“流れ”とは工程の進行に従って規則的に移動するモノの列のこと。流れがしっかり管理されていれば、モノの動きそのもので部門を超えて情報伝達を行うことができる」と話す。
かんばん方式なども導入し、かんばんで使った分だけ補充する仕組みを作った。これらにより、2000年から2003年の間でリードタイムを半減、棚卸を4割削減などの成果を実現できたという。また、信頼性工学に基づいた品質管理手法なども導入した他、車載生産などで高品質保証のノウハウなども蓄積できたという。
久保田氏は「NECにはこれらのノウハウに加え、ERPソリューションやPDMソリューション、生産管理業務の標準化、かんばんダッシュボードシステムなど、を強みとして持っている。EMS、ODMサービスなども組み合わせ、モノづくりを総合的にサポートできる」と話している。
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