直線、ターン、スラローム……周回路の耐久走行審査「エンデュランス」を走行した学生たちのフォーミュラカーを紹介する。エアロパーツ、エンジン選定やレイアウト、素材などこだわりポイントはそれぞれだ。
2013年9月3〜7日、静岡県袋井市・掛川市内の小笠原総合運動公園(通称「エコパ」)で「第11回 全日本学生フォーミュラ大会」(以下、学生フォーミュラ大会)が開催され、昨年、一昨年に続いて観戦に行ってきました(過去の取材記事)。
今年の連載第1回は、エンデュランス審査(直線・ターン・スラローム・シケインなどによる周回路を走行。22kmの耐久走行のタイムを競う)の模様をお伝えすることにします。
今年のエンデュランスは「リバース・オーダー制」。オートクロス競技の成績がよかったチームの出番が後ろになりました(昨年までは逆)。会場に着いたのが7日の午前10時頃、ちょうど筆者の母校である芝浦工業大学、そしてこれまた筆者がスポンサーの(……と言っても“お金”を出しているわけではなく、“知恵”を出しているのですが)地元静岡理工科大学が走っている時でした。
エンデュランス競技の基本ルールは、パイロンでレイアウトされた1周約1kmのコースを1人目のドライバーが10周しピットイン、ドライバー交代と車両チェックを行い、再度10周を走行し、タイムを競うというものです。尚、パイロンを倒すと一個につき2秒のペナルティが与えられます。最も長いストレートエンドでの速度は時速80〜90km、ジムカーナ的な中低速コースとなっています。
黄色いカウルを身にまとった「SHIBA-4」はホンダCBR600の並列4気筒エンジンを搭載、第1コーナー立ち上がりでは毎回のようにテールスライドするのはエンジンのパワフルさによるものか、それとも足回りのセッティングのため? ――マシンの挙動を見ていると足回りの剛性不足とリアの大きなウィングの重量が影響しているように筆者には見えました。エンジンの吹けは素晴らしく、排気音を聞いていると気持ちよいです!
結果は残念ながら残り3周のところでエンジンストップし、再始動出来ず完走は果たせませんでした。総合順位は33位と昨年よりは上がりましたが、実力は間違いなくシングルゼッケンクラスだと思います! 来年に期待しましょう。
昨年初の10位以内に入り、シングルゼッケンとなった静岡理工科大学フォーミュラプロジェクトのマシンはスズキのバギー車「LTR450」の単気筒エンジンを富士重工(スバル)の軽自動車のスーパーチャージャーで武装しています。コーナリングは安定しているものの、ストレートでエンジンが吹き詰まっていて(理由は後で聞きました)、タイムが伸びません。そしてドライバー交代時の車両チェックでブレーキフルード漏れが見つかり、2人目のドライバーは走行することができず……総合44位と、昨年から大きく順位を下げてしまいましたが、来年どう巻き返すのかスポンサーとしても見守りたいところです。
黒を主体にピンクのアクセントという美しいカラーリングのマシンは、ホンダ「CB600RR」のエンジンを搭載、カウルのデザイン、エンジンレイアウトはオーソドックスですが、サスペンションはなかなかユニークに見えます。写真からも分かるようにコーナリングは安定していて、しかも立ち上がりではタイヤのスキール音とともにテールスライドし、エンジンのパワフルさが分かります。ただ、ストレートの途中で毎回レブリミットに当てていて、その後のブレーキングではリアタイヤがホッピングしていました(一昔前のモーターサイクルのようです)。
筆者は、「お願い、シフトアップしてあげて」と何度も声に出してしまいました。確かにシフトアップしてもその直後にシフトダウンになってしまうのでしょうけど、ファイナルレシオのセッティングで、観客にも気持ちの良い走りをしてほしいなぁ……。
結果はエンデュランスで10位、総合で9位とトップ10入り、来年はシングルゼッケンですね! おめでとうございます!
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