「CEATEC JAPAN 2013」では、Wi-Fiを自動車で利用するための取り組みに関する展示がいくつかあった。Miracastによる映像伝送や、車車間/路車間/歩車間通信に活用できるという。
自宅やオフィスで、スマートフォンやタブレット端末、ノートPCをインターネットに接続する際に広く利用されているWi-Fi。しかし、自動車ではほとんど使用されていなかった。2013年9月発売のAudi(アウディ)の「A3スポーツバック」が、車両内でのWi-Fi接続に「国内で初めて対応した」ことが話題になったくらいである(関連記事:車内が無線LANアクセスポイントに アウディ新型「A3 Sportback」)。
「CEATEC JAPAN 2013」(2013年10月1〜5日、幕張メッセ)では、Wi-Fiを自動車で利用するための取り組みに関する展示がいくつかあったので紹介しよう。
自動車におけるWi-Fi利用で、現在最も期待されている用途が、後部座席で映像コンテンツなどを楽しむためのリアシートエンターテインメントである。ダッシュボード中央のヘッドユニットで再生している高解像の映像コンテンツを、後部座席に設置した車載ディスプレイに遅延なく伝送するには、高速な通信速度を持つ有線ネットワークで接続する必要があった。
この有線ネットワーク接続に替わって、映像コンテンツのデータ伝送の用途で採用が進むとみられているのが、Wi-Fiを使って映像データを無線通信で伝送できるMiracastだ。また、AndroidがMiracastへの対応を進めていることもあって、スマートフォン内の映像コンテンツを車載ディスプレイで楽しむ際にも利用できる。
インテルと村田製作所は、車載情報機器でMiracastを活用するための取り組みについてデモ展示を行っていた。
インテルブースでは、同社が推進する車載情報機器プラットフォーム「Tizen IVI」(関連記事:Intelの車載情報機器に対する深いこだわりから生まれた「Tizen IVI」)を組み込んだハードウェアに、MiracastとHTML5の通信プロトコルであるWebSocketを使って、スマートフォンの映像データをストリーミングで伝送するデモンストレーションが行われた。Wi-Fiとしては、5GHz帯のIEEE802.11nを用いている。
また、このTizen IVIハードウェア上では、映像データの再生画面とともに、デジタルメーターなどのHTML5アプリケーションがマルチウィンドウで動作していた。
村田製作所は、ルネサス エレクトロニクス、ユビキタスと共同開発中のMiracast対応ソリューションを展示した。3社は、通信速度が最大3.6Gビット/秒のIEEE802.11acや、無線通信の初期接続/認証を高速化するIEEE802.11aiなどを車載情報機器で利用しやすくするためのプラットフォームを共同で開発する方針を表明している(関連記事:IEEE802.11ac/aiを車載情報機器に導入、ルネサスと村田製作所など3社が共同開発)。
今回の展示では、村田製作所のスマートフォン向けWi-Fi/Bluetooth通信モジュールとルネサスのSoC(System on Chip)を搭載する評価ボードに、ユビキタスのMiracast対応ミドルウェアなどを組み込んだハードウェアを使用。Androidスマートフォンの表示画面を、Miracastを使って評価ボードのディスプレイ上に表示していた。
村田製作所は、車載用Wi-Fi/Bluetooth通信モジュールを開発中である。GPSレシーバ機能を有する品種(外形寸法が20.9×17.4×2.6mm)と、IEEE802.11acに対応する品種(外形寸法が14.2×12.6×2.5mm)を用意している。
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