地域経済の振興や雇用の創出には企業誘致や工場誘致が欠かせない。しかし、グローバル競争が加速する製造業にとって、事業の統廃合や工場撤退、海外移転などは既に日常茶飯事となっている。CEATEC JAPANで企業誘致をアピールする自治体に取り組みを聞いた。
第2期安倍晋三政権発足以降の円高是正や経済政策“アベノミクス”により徐々に改善の兆しが見えつつあるとはいえ、日系製造業の国内投資は以前慎重な姿勢が続いている。人口減少により最終消費地としての魅力が下がっている点、インフラコストが高い点などから、国内への投資が急増することは考えにくい状況だ(関連記事:アベノミクス効果顕在化も、製造業は投資抑制傾向続く――2013年4〜6月期)。
一方で自治体にとって地域経済の振興や雇用の創出には、企業誘致や工場誘致は欠かせない。しかし、製造業の買収や事業統廃合が日常化していく中で、誘致企業が撤退する可能性を考えれば、自治体にとっても大きなリスクとなる。積極策に出るかバランスを取るか、自治体の考えもさまざまだ。企業誘致を目的にCEATEC JAPANに出展した各自治体に話を聞いた。
自治体が企業・工場誘致を行う際に、施策の2本柱になるのが、工業団地の整備と助成金だ。これらの施策を有効に活用し、積極的に新規の企業や工場の誘致を呼び込もうとしているのが千葉県だ。
千葉県は、新たに茂原市と袖ヶ浦市に工業団地を設立する計画だ。計画中の工業団地は「茂原にいはる」と「袖ヶ浦椎の森の(2期、3期)」で、工業用地の面積は合計で50ヘクタール以上となる。
同県では既に16の主要工業団地を保有しており、そのうち12の工業団地では空きスペースなども残っているが「より今のニーズに適合した形で工業団地を整備する。成田空港や千葉港などの物流インフラに加え、首都圏中央連絡自動車道の延伸などもあり、物流・交通などの環境で従来以上に企業のニーズに応えていける体制が整っている」と千葉県 商工労働部 企業立地課 副主幹の五喜田由美子氏は話している。
助成制度も充実させており、工業団地への進出では固定資産額の2%(最大10億円)の助成が得られる他、本社機能や研究所機能の立地などそれぞれの条件に応じた補助を行っているという。
一方、千葉県と共同で出展した千葉市はきめ細かい助成制度で工夫を見せる。千葉市では工業団地の空きスペースがもうほとんどない状態で、工場誘致ではなく企業誘致に力を入れる。2013年10月1日から、企業立地促進事業補助制度に「累積投資型(マイレージ型)」を追加した。従来は操業開始時点で2億円以上の投資を条件として補助を行っていたが、3年間の累積投資で同様の補助を受けられるようにしたという。
また、千葉市内の拠点を拡充した場合に法人市民税法人税割額への補助を行う制度なども用意。「ここ最近の経済環境から拠点の統廃合などの動きは激しくなっているが、集約拠点として千葉市への立地が選ばれるような補助を行っていく」と千葉市 経済農政局経済部 産業支援課 企業誘致班の主任主事である佐古典子氏は話している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.