実際の解析事例として図2(a)のLR回路を取り上げ、時刻0において電源V1が接続された時の各部の電圧、電流の変化の様子を求めます。
等価回路は図2(b)に示すようになります。
これらを上記の定式化のルールに従って回路要素行列[G]を組み立てると各要素の定数は次のようになります。
従って、回路要素行列[G]は、本来の節点番号0,1からなる2行2列を拡張した式(6a)の3行3列の行列になります。
ここで、具体値を代入すると式(6b)のように値を決めることができます(式(6b)内の丸数字は定式化の手順番号です)。
ここから0行と0列に関する要素を抜くと、解くべき回路要素行列[G]は、
となります。
そして、電流ベクトル[I]は、
となります。
初期値としてIL0=0を与えると、E=−Req×IL0=0ですので、電流ベクトルの具体値は
となります。つまり、この行列を解けば式(8)のように各値を得ることができます。
この値は、初回刻み時間Δtが経過したときの各節点値です(この例では0.1秒後)。このようにして新しい節点1の電圧v1、インダクタ電流iL1が求まりましたので、式(5)のインダクタ等価電圧E(=−Req×ILn)を更新して電流ベクトル[I]を組み直し、上記と同様に解けば計算を進めることができます。
この繰り返しの結果を図3に示すとともに、参考として代数学的な真値も併記します。1次近似でかつ、粗い刻み時間ですので真値とは差を生じていますが、現象そのものは再現できています。
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