先述したように、本研究開発では、時速80km/車間距離22mで走行するコンセプトXを、2020年までに実用化することを目指している。その早期実用化を目指して、隊列実験車で開発した障害物認識技術(レーザーレーダーとミリ波レーダー)や、車車間通信技術(無線)、HMI(Human Machine Interface)などを搭載した「CACC実験車」を、大型トラックメーカー4社と共同で製作した(ベース車は、いすゞ自動車が「ギガ」、日野自動車が「プロフィア」、三菱ふそうバス・トラックが「スーパーグレート」、UDトラックスが「クオン」)。
記者発表後に行われたデモ走行では、CACC実験車に乗車する機会を得た。デモの内容は、大型トラック4台で発進後、即座にCACCにより車間30mで隊列を組んで加速し、時速80kmで走行するもの。CACCモードになると、2台目以下の車両は先頭車両に従って速度・車間制御を自動的に行う(ステアリング操作は各社のドライバーに任せられている)。
デモの途中で、先頭車両の前に低速車両が進入してきたが、その情報は車車間通信によって共有されており、HMIによる警告表示とアナウンスが流れた。先頭車両の減速に合わせて自動的にブレーキがかかり、進入した低速車両が別の車線に移ると同時に先頭車両が加速するので、2台目以下の車両もそれに合わせて加速した。HMIの開発は産総研が担当した。現行のACC向けHMIを基に、トラックドライバーからのフィードバックなどを得て仕上げたという。
CACC実験車に同乗して感じたのは、これがこのまま現在の市販車に搭載されてもおかしくないと思えるほどの完成度の高さだ。コンセプトXによる燃費向上率は車間が広いため数%と小さいが、ドライバーの負荷軽減や安全性向上に大きな効果があるはずだ。
技術的には十分でも、実用化までにはコストや法令、さらには社会的に受け入れられる環境が必要だという。しかし、コンセプトXだけでなく、YとZの早期の実用化に向けた活動も進めるべきではないか、という印象を持った。
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