各社が製品化するCADのデータを読み込んで自社のもつCADで使えるようにしたいという要求はすべてのユーザーの要求となっています。
このためユーザー自身やCADベンダはしばしばCAD間のデータ変換ソフトを開発しています。
しかし、このCAD間のインタフェースソフトの運用は多くの場合、手間がかかり、期待したほどの効率を上げられていません。
多くのCADシステムは数年に一度は大規模なバージョンアップが行われます。そして、その時には、多くの場合、CADのデータが変化します。これは、ビルドアップ基板が出現した時や、内層部品実装基板など、新しい技術が出現した場合、CADもそのような基板を設計するために新しいデータが必要になるからです。
基板技術だけではありません。伝送線路解析のためには基板の層厚の情報や、誘電率などの情報が必要となります。表皮効果による損失を解析しようとすると、銅箔の表面粗さの情報が必要となります。
このように技術に応じて、CADのデータはバージョンアップに応じて、常に変化しています。
CADのデータ構造はCADソフトの基本設計仕様ですので、多くのCADベンダではCADの内部データベースの詳細は公表していません。
その代わり、多くのCADでは、一部の情報をASCII(文字データ)出力する機能をサポートしています。
しかし、この出力機能で出力できるデータは限られたデータのみであり、しかもバージョン変更によって、そのフォーマットが変化することもあります。
もし、関連会社や海外の支社が4機種のCADを運用している場合、その4機種のCADデータの互換性を取ろうとすると6本のデータ変換ソフトを開発する必要があります。これが6機種になると、15本のソフトが必要となります(図4)。
しかも、これらのCADが数年おきにバージョンアップしてデータ構造が変るとその都度、データ変換ソフトの手直しが必要となってしまいます。
そこで、直接CAD間でデータを変換せず、標準フォーマットを規定して、各CADベンダはその共通フォーマットへ対しての入出力ソフトを開発してもらうようにすれば、良いと言うことになりました(図5)。
CADベンダはバージョンアップしても変化しない共通フォーマットへの入出力ソフトを開発すれば、すべてのCADに対してのインタフェースが取れることになります。
また、このフォーマットを介してのデータ入出力ではCADの内部データ構造を外部に出す必要がありません。CADのIP保護からも良い手法に思えます。
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