第16回 CAD/CAM業界標準フォーマット前田真一の最新実装技術あれこれ塾(2/3 ページ)

» 2013年02月13日 08時00分 公開
[前田真一実装技術/MONOist]

2. CADデータの共通化への試み

 各社が製品化するCADのデータを読み込んで自社のもつCADで使えるようにしたいという要求はすべてのユーザーの要求となっています。

 このためユーザー自身やCADベンダはしばしばCAD間のデータ変換ソフトを開発しています。

 しかし、このCAD間のインタフェースソフトの運用は多くの場合、手間がかかり、期待したほどの効率を上げられていません。

 多くのCADシステムは数年に一度は大規模なバージョンアップが行われます。そして、その時には、多くの場合、CADのデータが変化します。これは、ビルドアップ基板が出現した時や、内層部品実装基板など、新しい技術が出現した場合、CADもそのような基板を設計するために新しいデータが必要になるからです。

 基板技術だけではありません。伝送線路解析のためには基板の層厚の情報や、誘電率などの情報が必要となります。表皮効果による損失を解析しようとすると、銅箔の表面粗さの情報が必要となります。

 このように技術に応じて、CADのデータはバージョンアップに応じて、常に変化しています。

 CADのデータ構造はCADソフトの基本設計仕様ですので、多くのCADベンダではCADの内部データベースの詳細は公表していません。

 その代わり、多くのCADでは、一部の情報をASCII(文字データ)出力する機能をサポートしています。

 しかし、この出力機能で出力できるデータは限られたデータのみであり、しかもバージョン変更によって、そのフォーマットが変化することもあります。

photo 図4 多くの個別変換ソフト

 もし、関連会社や海外の支社が4機種のCADを運用している場合、その4機種のCADデータの互換性を取ろうとすると6本のデータ変換ソフトを開発する必要があります。これが6機種になると、15本のソフトが必要となります(図4)。

 しかも、これらのCADが数年おきにバージョンアップしてデータ構造が変るとその都度、データ変換ソフトの手直しが必要となってしまいます。


photo 図5 中間に共通フォーマットを考える

 そこで、直接CAD間でデータを変換せず、標準フォーマットを規定して、各CADベンダはその共通フォーマットへ対しての入出力ソフトを開発してもらうようにすれば、良いと言うことになりました(図5)。

 CADベンダはバージョンアップしても変化しない共通フォーマットへの入出力ソフトを開発すれば、すべてのCADに対してのインタフェースが取れることになります。

 また、このフォーマットを介してのデータ入出力ではCADの内部データ構造を外部に出す必要がありません。CADのIP保護からも良い手法に思えます。

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