リニアテクノロジーは、2012年5月に発表したDC-DCコンバータIC「LT8610」を実動作させながら、その変換効率をサーモグラフィで可視化するというデモンストレーションを行った。
LT8610は、アイドルストップシステムを搭載する車両などで発生する、鉛電池の出力電圧の一時的な低下に対応する機能を備えている(関連記事1)。デモでは、LT8610のもう1つの特徴である高い変換効率を、サーモグラフィで示した。動作時のDC-DCコンバータICが発する熱は変換時の損失であり、この熱が少ないほど変換効率が高いことになるからだ。
LT8610の変換効率は最高で約96%。これに対して、比較に用いた従来品の「LT1938」の変換効率は94%程度だという。サーモグラフィで見ると、LT8610がLT1938と比べて10℃近く温度が低いことが分かる。
インターシルは、車載ディスプレイの動作を制御するディスプレイコントローラICを前面に押し出した展示を行った。
同社は、車載ディスプレイとスマートフォンを連携させる有線インタフェースとして、MHL(Mobile High-definition Link)が有力候補になるとみている(関連記事2)。
展示では、2012年末からサンプル出荷している、1080pのフルHD映像の入力に対応する「TW8836」とMHLインタフェースICを搭載する評価ボードを使って、MHLインタフェースを持つAndroidスマートフォンと連携させるデモを見せた。2013年夏には、TW8836にMHLインタフェースICの機能を集積した「TW8837」のサンプル出荷を始める予定だ。
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンのブースでは、同社のディスプレイメーター向けプロセッサ「Vybrid」(関連記事3)に、イーソルの車載情報機器向けOS「eT-Kernel」とAUOTSAR準拠OS「ECUSAR」を実装した事例が展示されていた。
Vybridは、ARMのアプリケーション処理用プロセッサコア「Cortex-A5」と、マイコン用プロセッサコア「Cortex-M4」を1個ずつ搭載した製品である。展示では、Cortex-M4に実装したECUSARを使って、CAN(Controller Area Network)を介して車速情報などを取得し、それらの情報をCortex-A5に実装したeT-Kernel上のメーターシステムに送るというデモを披露していた。「Vybridという1個のプロセッサで、車載情報系のシステムと制御系のシステムの連携を実現できる。また、eT-Kernelは、既存の車載情報機器で利用されていたITRONのソフトウェア資産の再利用が容易だ」(イーソル)という。
ams(2012年5月にaustriamicrosystemsから社名を変更)は、電動パワーステアリング(EPS)の回転角や、クラッチ/スロットルといったペダルの踏み込み角度を測定するのに用いる3Dポジションセンサーをアピールした。
この3Dポジションセンサーとは、パッケージの平面に対して水平な2つの軸方向(X軸とY軸)と垂直な軸方向(Z軸)、計3軸の磁束変化を同時に測定できるホールセンサーのことである。展示では、センサー1個で、EPSの回転数と回転角を同時に測定できることを示した。
通常のホールセンサーの場合、ステアリングと連動して回転する磁石がどの角度位置にあるのかは測定できるが、何回回転したかまでは分からない。回転数を測定するには、ボールねじのようにステアリングの回転に合わせて少しずつ上下する磁石のシャフト方向の位置を、別のホールセンサーで測定する必要がある。一方、3Dポジションセンサーの場合、3軸の磁束変化を同時に測定できるので、組み付けるセンサーデバイスの数を1個に減らせる。このため、EPSの小型化が可能になるという。
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