実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第6回は、第4回、第5回で紹介してきた「Thunderbolt」について、さらに踏み込んで解説する。
本連載は「エレクトロニクス実装技術」2011年9月号の記事を転載しています。
本連載は、新しいニュースや学会などでの新しい実装にかかわるトピックスを取り上げて解説して行こうとするものです。
これまで数回にわたって、光と銅の紹介をし(第4回 Light PeakからThunderbolt、第5回 光と銅)なかなか光が家電やPCなど、価格競争力の必要なアプリケーションに入り込めない『にわとりと卵』の関係について書いてきました。
しかし、ついにPCに光が導入されたニュースが入ってきました。これによって、『にわとりと卵』が次のステップに移るのかは楽しみです。
ソニーがヨーロッパでこの夏からVAIOにLightPeakを搭載して発売予定であるとのニュースです。ここで、多少混乱しているのですが、LightPeakから銅の仕様が追加された規格がThunderboltと呼ばれているので、現在LightPeakはなく、Thunderboltに銅の規格と光の規格があると報道されていたのですが、今回の報道ではLightPeakと呼ばれていることです。
プレス報道によると、これまで不明であった光のコネクタが公開されています(図1)。この写真からはVAIOではHDMIコネクタとLightPeak(Thunderbolt?)の両方が異なる形状のコネクタを使って並んで搭載されています。光コネクタとしてはUSB3.0のコネクタが使われています。
VAIOでは光はUSB2.0、USB3.0 Disk接続などに使われているとのことです。
裏面照射のCMOS撮像素子やBDレコーダ、プレーヤなどのレーザ技術など光の技術をもったソニーが『光』を使い、光の実績やノウハウのないAppleが『銅』を採用したことは納得できます。
Thunderboltの将来の機能アップを含んだ光と銅の競合と、VAIOが光時代の先がけになるのかも含めて、今年は、楽しみな幕開けとなりました。
ここで、現時点で判明しているThunderboltの仕様について説明します。
Thunderboltについては現在のところ、多くの情報が不明のままです。特に技術的な詳細仕様が発表されていません。
Intel社が公開しているのは4ページのWhite Paper(図2)とプレス発表原稿、他には数回のプレス向けのデモだけです。それでも、かなりのことが分かってきましたので、それらを整理します。
まず、細かい仕様に入る前にThunderboltの位置づけとインパクトを考えて見ましょう。
Thunderboltを考えてみて気づくのは、価格と性能、マーケット要求について実に上手いバランスを突いている、ということです。この点については後で説明します。
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