情報通信研究機構(NICT)は、6種類の香源を瞬時に組み合わせて、豊かな香りを表現できるコンパクトタイプの香り噴射装置「マルチ・アロマ・シューター(Multi-Aroma-Shooter)」の開発に成功した。さらなる改良を進め、1年以内の商品化を目指すという。
情報通信研究機構(NICT)は2012年11月6日、6種類の香源を瞬時に組み合わせて、豊かな香りを表現できるコンパクトタイプの香り噴射装置「マルチ・アロマ・シューター(Multi-Aroma-Shooter)」の開発に成功したと発表した。“香り”のデジタルサイネージ(食品・化粧品などのサンプル提示・広告・集客)、アロマと映像によるリラクゼーション、五感デジタルミュージアム、香りの出る4D映画・テレビ、香り体感エンターテインメントなどへの応用が期待されるという。
NICTは、これまで多感覚(視覚、聴覚、触覚、嗅覚)情報に基づく、“超臨場感コミュニケーション”を実現するために、香りの噴射装置を開発してきた。2009年に発表した従来型のマルチ・アロマ・シューターの場合、単一の香りしか提示できず、香源を取り換えるのも困難で、別途、AC電源ケーブルや制御コントローラを設置しなければならなかった。さらに、映像と香りの噴射タイミングを連動させるには複雑なプログラミングが必要とされていた(関連記事)。
こうした課題を踏まえ、今回、六角柱の小型形状(最大径:60mm、長さ:60mm)で、PCとUSB接続するだけで駆動できるマルチ・アロマ・シューターを新開発した。
新型のマルチ・アロマ・シューターは、香りを瞬時(最短100ms)に切り替えて、小さな噴射孔からユーザーの鼻めがけて、香りを噴射することができる装置だ。香りを出すタイミングと時間は、「香りと映像の同期・編集ソフト」により設定可能で、6種類の香りから複数を組み合わせて豊かな香りを表現することができる。なお、6種類の香源の交換はカートリッジにより取り替え可能となった。
今後、NICTは、同装置をさらに改良し、NICT発のベンチャー企業「アロマジョイン」にて1年以内の商品化を目指す。
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