僕らはどうしてコマ大戦をやるのか行司から見た全日本製造業コマ大戦(2/3 ページ)

» 2012年09月28日 11時40分 公開
[落合孝明/モールドテック,@IT MONOist]

 あのような雰囲気や熱気、パワーは、かつての製造業関連のイベントでは到底感じられなかったものでした。そして、そんなコマ大戦が引き金となって、新たな“何か”が産み出されるのではないか? そんな期待も抱かせてくれます。

 さて、そんな誰もの予想を大きく超え、大盛況で幕を閉じた横浜場所を経て、2012年3月には茨城県日立市で「茨城場所」、同年7月に長野県伊那市で「信州場所」、さらに同年8月には東京の渋谷ヒカリエで「渋谷場所」が開催されました。

「中小企業SNS活用シンポジウム」の懇親会として開催した「茨城場所」
CADユーザーグループ SWCNのイベントということもあり、メーカー設計者も多く参加した「信州場所」
浴衣美女が人気を博した「渋谷場所」

 来年の2013年2月開催の全国大会「第2回 製造業コマ大戦 横浜場所」に向けて、既に地方予選も始まっています。その先陣を切ったのは、2012年8月に開催された北海道・東北予選「仙台場所」(G2)でした。

北海道・東北予選「仙台場所」(G2)

 2012年9月30日には、“コマ大戦史上、最大規模”になると予想される関東大会「八王子場所」が開催されます。参加チームは、なんと64チーム! 町工場主催のイベントとしては、非常に大きな規模です。

 来月以降の地方予選スケジュールは、以下の通りです。各会場や詳細は、コマ大戦の公式Webページで確認してみてください。

  • 2012年10月24日 九州沖縄予選 博多場所
  • 同年10月26日 信越北陸予選 新潟場所
  • 同年11月10日 東海予選 名古屋場所 近畿
  • 同年11月24日 中国四国予選 瀬戸内場所
  • 同年12月15日 近畿予選 京都場所

 全国大会を目指して、それぞれの技術と意地とがぶつかり合う。間違いなく、それぞれの会場で、さまざまなドラマが生まれることでしょう。

運営スタッフから見たコマ大戦

実況席の面々。「横浜場所」より

 ところで、このコマ大戦の運営には、私のように心技隊に所属していない製造業関係者がたくさん関わっています。その中でも目立つのが、“しゃべり上手”なお二人の存在です。実況担当の黒椙田ゆうじさん(エコックス 代表取締役 椙田祐司さん)と解説担当の笠原UKまさきさん(由紀精密 CIO 笠原真樹さん)です。

(左から)解説担当の笠原UKまさきさんと実況担当の黒椙田ゆうじさん。「渋谷場所」より

 椙田さんの実況は「プロ顔負け」だと思います。実際、大会として椙田さんの機転の効いた実況に救われた場面が多々ありました。ちなみに、本業はオイルミストや粉塵(じん)の侵入を防ぐフィルターを製造・販売するエコックスの代表さんです。

 笠原さんは、第1回大会の優勝チームである由紀精密の従業員。同社はSEIMITSU COMAの販売元ですが、当然“コマ屋さん”ではなくて、航空宇宙や医療機器関連の部品製作が得意な精密切削加工メーカーです。その中で笠原さんは、町工場としては珍しいCIO(最高情報責任者)というポジションを務め、社内のITシステム構築に携わっています。

 さて、ここではそんなお二人に「コマ大戦についてどう思っているのか」、少し聞いてみることにしました。

落合:そもそも、僕自身もかなり軽い気持ちで行司を引き受けてしまいましたが、お二人はこの話があったとき、どのような気持ちでしたか?

椙田:主催である心技隊 隊長の緑川さん、事務局長の伊藤さん(エムエスパートナーズ 伊藤昌良さん)とは付き合いが古いこともあって、正直、「軽い気持ちから」でしたね。“宴会の余興”を受ける程度のノリでした。

笠原:「え? 自分?」みたいな感じでした。製造業の経営者中心のコミュニティーの中に“何となく”いたのですが、自分は経営者ではなく“従業員”という立場に過ぎなかったので、「自分が表舞台に出て、何かすることはないだろうなぁ」とずっと思っていました。それから、「コマ大戦のアイデアは、由紀精密のコマ(SEIMITSU COMA)から出た」ということを聞いて、とてもうれしく感じました。それまで、“単に交流する”だけにすぎなかったSNS活用が、「製造業的復興支援プロジェクト」のような、“一歩踏み出してのアウトプット”としての活動へとつながり、動き出した頃の話だったので、そこに絡んだ喜びもありました。

「製造業的復興支援プロジェクト」SNSでの交流から誕生した、製造業関係者を中心として取り組む被災地支援プロジェクトのこと。



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