「CeBIT」の開催地ハノーバーから、アウトバーンを使って自動車で1時間ほど走行すると、ドイツ最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンとともに発展した都市・ウォルフスブルクに到着する。市街の中心部には、現在もフォルクスワーゲングループの本社ビルと5万人の工員が働く世界最大規模の自動車工場がある。「ゴルフ」などの主力車種を生産するこの最先端工場を見学する機会を得たのでリポートしよう。
フォルクスワーゲン(Volkswagen)は1937年に、その名の通りドイツの「国民車」を製造するために設立された。ウォルフスブルクは、そのフォルクスワーゲンの本社と工場とともに建設された計画都市である。このため、市街の中心部を占有する6.5km2もの広大な敷地には、同社の本社ビルや工場、発電所などが建ち並んでいる。今回筆者は、ハノーバーで開催されたIT見本市「CeBIT 2012」の取材(関連記事1、関連記事2、関連記事3)の一環として、このフォルクスワーゲン本社工場を見学する機会を得た。本稿では、同工場における自動車生産の様子や最新の設備などについて報告する。
注:今回の工場見学ではカメラの持ち込みが禁止された。このため、本記事で掲載している写真は、広報用写真、もしくは工場紹介用DVDの中から許可を得てキャプチャしたものである。取材時に撮影したものではないことをご了承いただきたい。
本社工場は5万人の工員が3交代制で勤務しており、通常時は月曜の朝6時から日曜の朝6時まで週6日間稼働している。生産車種は、同社の主力乗用車である「ゴルフ」の他、「ゴルフ プラス」「ゴルフ トゥーラン」、「ティグアン」などで、2010年には年間で総計74万4000台を製造した。この数字は、2010年におけるフォルクスワーゲンの全乗用車生産台数の16.2%に当たる。
毎日、150両の2階建て貨車と160台の車両運搬車によって、2500台以上の完成車が出荷されている。工場内を案内してくれた同社ビジターサービス部のBruno Henika氏によれば、「2010年から2011年にかけては、販売が好調だったため日曜も休みなしで操業した」という。
本社工場の内部は、製造工程ごとに、プレス工場、ボディ工場、塗装工場、組み立てラインに分かれている。以下に、各工場の様子をフォトギャラリー形式で紹介しよう。
プレス工場では毎日1500トンもの鋼板を使って部品を製造している。打ち抜き加工された鋼板は、部品として切り出した後で亜鉛メッキを施される。本社工場では、欧州の他の工場にも加工済みの部品を出荷している。
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