チームリーダーは、賀来大介さん。2010年度車両に搭載のスズキ「GSX-R600」の4気筒エンジンから、2009年度車両に搭載のスズキ「SV650」のV型2気筒エンジンに戻しての参戦です。リアブレーキのインボード化、リアサスペンションは1本とパーツ点数の削減を中心に軽量化を図り、走行安定性向上を狙い大型化した車体にもかかわらず、車両重量は昨年並みに収めました。
カウリングは流体解析を駆使して、リアのディフューザーに重点を置いてデザインし、2009年度のマシンよりCD値は21%低減、しかもサイドポンツーンやディフューザーは分割可能にして整備性を向上させています。
2010年度車両までの問題点であった「ステアリングのガタ」は、シャフトの保持をブッシュからベアリングに変更して解消、直進安定性・コーナリング性能共に向上したと、この3年間連続してドライバーを担当している学生さんも実感しているとのことです。
燃費では2位に入ったものの、動的審査が全般的に昨年より振るわず総合11位。来年はエンジンを再度4気筒にするのか、このままVツインで行くのかも含め、引き続き注目すべきチームです。
編集担当小林:東海大学の学生フォーミュラメンバーは、大学院へ進学すると、フランスで行われるル・マン24時間レースにも参戦する場合が多いそうです。ル・マンの作業場にフォーミュラの学生がいることもあります。設備や工具を借りに来ているのですね。
さて、チームインタビューのトリを飾るのは上位常連校の東京都市大学です。ご存じ旧武蔵工業大学ですから、私の出身校芝浦工業大学とは永遠のライバルです(と、一方的に思っている。笑)。チームリーダーは横山隼さん。
見事な仕上がりの車体を隠すように写っている左の方の背中には「MI-TECH Racing」の誇らしげなロゴが。もちろん「MUSASHI INSTITUTE of TECHNOLOGY Racing」ですよね。その上に小さく「TCU FORMULA」と書いてありますが、これは「TOKYO CITY UNIVERSITY」の略ですね。INSTITUTEからUNIVERSITYに変ぼうした伝統校は、今後どんな進化を遂げるのでしょう。
……おっとこれまた車体を隠すように写っている右の方は金沢工業大学の方ですねぇ。有力チームの視察といったところでしょうか。
2009年に総合4位の好成績を残したマシンを2010年は大幅にモデルチェンジ(単気筒エンジンから4気筒エンジンに変更)し、やはり総合4位を勝ち取りました。今年2011年はホイールサイズを10インチから13インチに一気に大径化、バネ下重量の増加と引き換えに、コーナリング性能の大幅向上を狙いました。コーナリングスピードが上がり、なおかつバネ下の重量が増加するということは足回りの剛性アップが必須で、設計にはかなり苦労したそうです。「SolidWorks Simulation」を駆使して強度解析しましたが、シェイクダウンの時期が遅れ、走り込み不足の状態で大会に臨んだということです。
無事全ての審査を完走することができましたが、今回のテーマである「コーナリング性能の向上」が狙ったレベルまで到達しなかったようで、エンデュランスでは11位に食い込むものの、他の動的審査では20位前後の結果で総合順位は10位となりました。
しかし、足回りを熟成させ、狙い通りのコーナリング性能を手に入れれば、トップ争いができるマシンであることは間違いありません。今年は総合13位だった我が母校芝浦工業大学(しつこいか? 笑)との熱いバトルを期待しましょうかねぇ!
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編集担当小林:「東京都市大学」という校名を聞いて、「最近の新設校?」と思ってしまう方がまだ多いかもしれませんが、旧校名は、武蔵工業大学。学生フォーミュラ大会出場常連校です。来年からチーム名がどうなるのか、気になります。
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