設計で生かすシミュレーションを社内で広めていくには、偉くなってしまうとやりづらい? でも、組織を動かすには力も必要だし……。
前回に引き続き、CAE関連の議論をするTwittererたちの大手町談義(登場人物と経緯は第1回参照:モデレータは南山雄一氏)をお届けする。今回、いよいよ最終回。
「それ、あるある!」と共感しつつ、あなたの抱える問題の答え探しのヒントが見つかればと思う。
「答えを出すのは、あくまであなたです!」
編集部注 *現場の生の声、当日の会話の流れをできる限り忠実にお伝えしたいと考え、本来文章としては粗いと感じられる表現(通常の記事では修正する表現)も一部許容して編集しました。
――ここで言うCAEは、ソフトウェアを使った解析・シミュレーション、つまり狭い意味の方を指している。しかし、それでもまだ広い? ここでは、設計の中でのシミュレーションというのは、そもそもどういうことか話した。
この間行った非線形CAE評価会で言っていたのが、「シミュレーションとエミュレーションを切り分けよう」ということ。現物と合わせ込む、「現実の物理環境を計算機の中に」というのはエミュレーションの世界。シミュレーションというのは、そうじゃなくて、そのパラメータや条件をいろいろ振って、「どれがいいか悪いか」「どっちに行くか」を決めるための方法だろう、と。そこを切り分けて考えないといけないんじゃないかな、と。絶対値が合うかどうかでなく「どっちがよりいいか」です。
うんうん。
それをまとめて全部やっちゃおうとすると、「何これ難しい!」ってなっちゃう。
設計者が活用するCAEっていう意味では、「パラメータどうなの」「絶対値と合うかどうか」というよりも、方向性を決めること。
それで、例えば「材料を変えて、ヤング率が変わったらどうなるか」「剛性が変わったらどうなるの」っていう。
そういうイメージですか。
じゃあ、「いまの設計CAEは、残るぞ」と?
――前回の会話に、仮想現実や3次元データ技術の進化により将来は、シミュレーションという概念や業務がなくなるのでないかという話題が出てきた。しかし現状は、「なくなる」なんて思えないほど、解析専任者や設計者はシミュレーションの仕事に追われている。将来はそうなるにしても、まだ乖離(かいり)があるということ?
結局、概念としては……。まあ、名前は変わるかもしれないですけど、やっぱりそうしないと、結局、10年前、20年前と同じように「物作って、動かして、壊して」みないと分からないという話になっちゃうと思うので、そこは、やっぱりシミュレーションが残っていくだろうと思います。
ただ、それが“シミュレーション”という独立した仕事として残るかどうかは正直、分からないです。5年ぐらい前に、うちの社長と「もう5年先には、CAEって仕事がないんじゃないかな?」って話をしていたんですけど、(それから5年たった)現状としていま、CAEって仕事はありますし、うちもありがたいことにいろいろ仕事をいただいています。「じゃあ、それは何でかな?」っていうのは、イマイチ考えられていないですね。
(シミュレーションという仕事が)「なくなる」だろうな、って誰もが思うんですよね。そういう方向へ行くだろうと思っているのに、いまはそうなっていない。
やっぱりここに、壁があるんだよ。それがいまの日本の文化なのかもしれないし、僕らが過去の何かを引きずっているのかもしれないし。それは各社で違うけど、“何か”がここにある。
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