グロービア インターナショナルのSaaS型ERP「glovia OM」が帳票出力、入力画面開発環境を強化。日本のユーザーニーズに合致したサービスの素早い立ち上げを目指す。
グロービア インターナショナルは、2011年8月3日、自社のSaaS型ERP製品「glovia OM」で、帳票出力、開発スピードを強化する内容の協業を発表した。キヤノンマーケティングジャパン、テラスカイの2社と協業し、日本のユーザーからのニーズの高い帳票処理に関連する機能を拡張する。キヤノンマーケティングジャパンとテラスカイの両社のサービス連携が2011年8月22日に開始するのに合わせて同日から提供を開始する。
グロービア インターナショナルは生産管理を中心としたERP製品を展開しており、通常のサーバ/クライアント型ERP製品「glovia G2」、SalesforceをバックエンドインフラとしたSaaS型ERP「glovia OM」を主力製品として展開している。米国に本社を持つこともあり、グローバル展開を志向する企業に適した製品展開が強み。
キヤノンマーケティングジャパンでは、自社プリンタとクラウドサービスを利用したプリンティングサービス「Cannon Business Imaging Online」を展開しており、他社クラウドサービスとの連携を進めることを2011年7月13日に発表していた。Cannon Business Imaging Online帳票サービスはこのサービスの1機能として提供される。
同サービスは、SaaS型の帳票出力サービスにおいて、ユーザーのローカル環境へのデータダウンロードなどが一切不要な点がポイントとなる。一般的なSaaS型の帳票サービスでは、企業内ネットワーク上のプリンタに直接アクセスできないため、PDFなどの出力結果をローカル環境にダウンロードした上で、プリンタ出力を行う必要があった。このため、ローカル環境へのデバイスドライバ導入が必須であり、データそのものもローカル環境にいったん保存しなければならなかった。大量の請求書などを発行する場合、このような利用形態は現実的でなく、SaaS環境の利便性を十分に享受できなかった。
同サービスとの連携サービスを提供するテラスカイはSalesforceのカスタム開発やデータ連携などに強いベンチャー。SalesforceのUI開発は、開発環境が乏しく、独自言語による定義が必要なほか、デバッグ条件次第ではアップロードできないなどの制約があるため、スクラッチからの開発には多くの工数が掛かる。この問題に対してGUI操作のみで画面設計を行い、自動コード出力が可能なツール「SkyEditor」を提供している。
今回このツール上にCannon Business Imaging Online経由での帳票印刷向けのボタンUIオブジェクトを追加する。また、SkyEditor上で、入力UIを設計する際に、設計したUIに即してSalesforce向けにクエリを出力する機能も併せて提供する。これによりSalesforceをベースとしたシステムのカスタム開発スピードが向上する。
今回の協業について、グロービア インターナショナル プロダクトマーケティング本部 ダイレクター 花田完氏は「グロービアインターナショナルのERPはあくまでもグローバル標準のERP。迅速に海外拠点のシステムを構築できる利点などはそのままに、日本企業独自のニーズに対応していく機能拡張として考えている」とし、SaaSの利点と迅速立ち上げの利点をそのままに、利便性を追求した点を強調する。
Salesforceを使った帳票出力サービスは多数あるが、「日本人が求める高い品質の入出力を提供できる」(小野寺氏)点が大きなアドバンテージとなる。例えばSalesforce標準の入力画面では、1件ごとの入力が必要だが「B2Bの取引では、1つの取引先に対して複数の部品を納入するケースは多い。都度の入力では手間が掛かるが、画面を独自に開発すると開発工数がかさんでしまう。Visualforce、Apexのコード生成を自動で行うSkyEditorはテンプレートやGUIツールによる開発なので立ち上げスピードやコストを抑えられる」(テラスカイ 代表取締役社長 佐藤秀哉氏)という。
glovia OMは7500円(1ユーザー/月)、SkyEditorは2000円(1ユーザー/月)、Cannon Business Imaging Online 帳票サービスは15000円(10ユーザー/月)となっている。
なお、今回の協業に関連して、富士通は自社のクラウドサービス基盤「FGCP/S5」をキヤノンのオフィス向けクラウドサービス向けに提供すると発表している。
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