学術ではどうか知りませんが、職人は「トラブル三兄弟」という「匠のワザ(1)」を有しています。
例えば、EV車の開発チームに、「質量(重さ)が何g以上、コストが何円以上、ねじが何点以上の部品を提示しなさい……」という指示なら誰でもできますが、「トラブル発生が予測される部品や箇所を提示しなさい」というのは不可能です。トラブルが発生するか否かの不明な部品や箇所をどうやって判断するかが困難なのです。ましてや、「想定外トラブル」の提示は不可能です。「想定外」だからです。
では、甚さんなどの職人はどうするのでしょうか?
実は、軍需は別にして、家電品や自動車などの「民需商品」の場合、トラブルは以下のところに、なんと98%が潜在しているのです。
これは、図1に示す「匠のワザ(1)」、通称、「トラブル三兄弟」と呼びます。詳細は、次回に解説しましょう。
甚さんによる解説は次回ですが、図1からおよその見当は付きますね!
おお、そうかい。うれしいこと言ってくれるじゃねぇかい。トラブルってやつはよぉ、トラブル三兄弟に隠れているんだよ。だから、引っ張り出せばよぉ、そりゃオメェ、何ちゅうかぁ、想定内っていうもんよ。
なるほど、次回が楽しみです。
國井 良昌(くにい よしまさ)
技術士(機械部門:機械設計/設計工学)。日本技術士会 機械部会 幹事、埼玉県技術士会 幹事。日本設計工学会 会員。横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師。首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師。
1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師としても活躍中。Webでは「システム工学設計法講座」を公開。著書に「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社)と「ついてきなぁ! 『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社)がある。
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