パーソナルなモノづくりをするのに必須なのは、「3次元データ」。その作成を人に頼んでいては、とても高くついてしまう。それなら、自分でやった方が断然お得! でも、Macしか持っていない……。そんなあなたのための、Macを使って3次元モノづくりにチャレンジをするシリーズ。(編集部)
何というか、必ずしもMac歴は長くないのだが、私はMacが好きである。とは言ってもWindows歴の方がはるかに長く、仕事においては、やっぱりWindowsを使う。どうしても必要なソフトでも、ビジネス系のものはWindows版しか用意されていないことも多いし、それこそ3次元CADも、主要なもののほとんどがWindowsマシンでないと動かない。
そこで、根強いMacファンはどうしてもMacで3次元CADを使うべく必死に探すことになる。Boot CampでもVM WareでもParallels Desktopでもない。それらがサポートされているとか、いないとかそんな問題ではない。要するに3次元CADがネイティブで動くかどうか、ということが問題なのである。そんなわけで、しばらく私もそれを捜して回る難民状態であった。
しかし、ありがたいことに長くCAD業界にいると、あちらこちらにかつての同僚がいたりして、さまざまな情報が入ってくる。2010年の秋にアルテアエンジニアリングが、サーフェスモデラーである「solidThinking」のセミナーを開催することを知ったので、早速行ってみた。
アルテアエンジニアリングというとCAEのイメージがあるが、しばらく前にsolidThinking社を買収したとのこと(というか、業界にいたのに、お前は知らなかったのか、と言われそうですが、意外にそんなもんです……汗)。
……で、既存のユーザーの方の発表やらベンダーさんの発表を聞いてみると、どうも良さそうだ。もちろん、ほとんどの皆さんのプラットフォーム(OS)はWindowsのようだが、発表者のお一人は、どうも熱狂的なMacユーザーのようで、もちろんCADとしての機能が満足いくものだから使っているのだが、少なくともその人にとって「Macで動く」というのも、CADの選択の要因としては外せないところであったのだろうと推測した。
肝心のモデラーとしての機能だが、結構良さそうだ。サーフェスCADなのにフィーチャの履歴を意識した操作ができる。例えば回転で作った面を修正するのに、元になるカーブを簡単に置き換えてくれるなど、モデリングもやりやすそうだし、なんといってもレンダリングがきれいだ。
見たものを信じやすい私としては、すぐに使いたくなった。そういうわけで、ここからはいつもの流れである。3次元CADの評価版をWeb経由で申し込むことにした。
ソフトをダウンロードして、その後でシリアル番号を送ってもらうとすぐにアクティベートできた。で、確かに、わがMac上でsolidThinkingが起動した。
今回の連載では、カッコいい「俺仕様」(最近私の記事はこればかりのようだが……)の椅子(いす)と、iPhoneの台を作ってみたいと思う。昨今、あちらこちらで耳にする「パーソナルファブリケーション」という言葉だが、本当に自分でRPなどを活用してパーソナルで何かを作るためには「3次元データ」が作成できなければ始まらない。これを人に頼んでいては、とても高くついてしまう。普段から、自由に使えるソリッドモデラーなどがある人は別だが、Macでいろいろとやりたいとか、新しいモデラーを探している人には検討の余地がありそうだ。
それに……、このモデラーには、ほかのモデラーにはない「Morphogenesis」(モーフォジェネシス)と呼ばれる機能があるのだ。これについて、詳しくは後述する。
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