工作機械や生産設備の動作は、今や非常に高精度である。その設計は、やはりCADやCAEなど、デジタルの力が頼り。でも、CADは2次元だったりして……
工作機械や生産設備の動作は、その一部にロボット工学も取り入れられることもあり、今や非常に高精度である。また加工機械の精度は、最近では、数十nm(ナノメートル)ぐらいまでの精度まで追い込まれている。産業機械業界は、精度そのものについて、非常に厳しく追求される領域にきてしまった。肉眼で見えないレベルをはるかに超えている世界の設計・検証は、やはりCADやCAEなど、デジタルの力に頼らざるを得ない。
その一方で、産業機械の設計は、アナログな要素も多く残っている。単品〜少ロット生産が多い産業機械業界では、設計そのものが3次元化されていない場合が多く、2次元図が中心のアナログな設計もいまだに目立つ。メーカーは中小企業が多いこともあって、PLMは当然、PDMの導入事例も少ない。その傾向からも、「産業機械業界は設計開発のIT化が遅れている?」……といわれてしまいがち。逆にいえば、3次元CADに一番振り回されていない業界ともいえるのだが。
現在の産機業界については、アナログとデジタルが入り混じった設計環境であるといえる。
産業機械業界では、2007年あたりから、CAEへの注目が極めて高まっている。特に、大手工作機械メーカーたちのCAEの取り組みは熱心だ。中小メーカーも、大手メーカーたちを追いかける形で、こぞってCAEに取り組みだしてきている。CAEに取り組みたい部分から、部品データの3次元化をしている現状のようだ。また、CAEがきっかけで、設計の3次元化が急加速する動きも大いにあり得る。
同業界は、新しい技術の導入が、他業界に比べ、比較的遅めかもしれない。しかしいったん「やる!」と決めたら、業界をあげて、着々と導入を進めていく傾向のようだ。産業機械業界は、業界団体やメーカー同士の結託が強いことが、その背景として考えられる。
半導体そのものの開発で多く見られる解析は、微細加工の加工性解析、化学系の解析などになる。その最先端では、制御と機構、構造を連成させた解析を行うこともある。
同様の業界中、建機メーカーでは、土砂解析など土木工学系でCAE活用がよく見られる。
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