PCIe採用で柔軟なI/Oを実現するAtom「E6xx」岡谷エレクトロニクス、Atom「E6xx」開発者セミナーを開催

インテル Atomプロセッサ「E6xx」シリーズに関し、岡谷エレクトロニクスは「組込み向けIntel ATOMプロセッサ E600開発者セミナー」を開催

» 2010年12月27日 00時00分 公開
[八木沢篤,@IT MONOist]

 “組み込み向け”に考えられたSoCとして注目を集めるインテル Atomプロセッサ「E6xx」シリーズに関し、岡谷エレクトロニクスは2010年12月16日、「組込み向けIntel ATOMプロセッサ E600開発者セミナー」を開催した。

 はじめに「インテル 組込み市場向け製品戦略」と題し、講演を行ったインテル 技術本部 シニアフィールドアプリケーションエンジニア 金崎 益巳氏は「2015年に、およそ150億台もの機器がクラウドにつながるようになるだろう」と説明。現在のPCを中心としたクラウド活用が、組み込みの世界にも広がっていくことをあらためて示し、「そこに大きなビジネスチャンスがある」(金崎氏)と強調した。


インテル 技術本部 シニアフィールドアプリケーションエンジニア 金崎 益巳氏 画像1 インテル 技術本部 シニアフィールドアプリケーションエンジニア 金崎 益巳氏

 組み込み分野におけるインテルの展開について金崎氏は「通信インフラや産業、医療などの30以上のセグメント(3500社以上の顧客)で、30年を超える実績を持つ」とし、今後は、これまでマイコンやARM、MIPS、PowerPCなどの組み込み向けプロセッサが担ってきた「より要求の厳しい(低消費電力、低コスト、省スペース)組み込み分野へIAを展開していく」(金崎氏)という。その大きな役割を担うのがAtomプロセッサだ。

 Atomプロセッサのソリューションは、大きく2つに分類される。1つは、“低コスト”が特長のAtom「N270」シリーズおよび、その後継の「N4xx」「D4xx」「D5xx」シリーズ。そして、“低消費電力”が特長のAtom「Z5xx」シリーズおよび、その後継の「E6xx」シリーズだ。Atomというと、一般的にネットブック向けのCPUとして認知されているが、特に最新の「E6xx」シリーズは、従来のネットブックや組み込みコンピュータ向けとは異なり、マイコンや組み込みCPUが担うような組み込み機器、本当の意味での組み込み市場(“True Embedded”)にリーチできる製品として開発されたものだという。

 「E6xx」シリーズの最大の特長は、プロセッサとチップセットとの接続に用いられるフロントサイドバスが「汎用バス(PCI Express)」に変更された点だ。「汎用バスの採用により柔軟なI/Oを実現し、さまざまなニーズに対応できる」(金崎氏)という。標準チップセットとしてプラットフォームコントローラハブ「EG20T」がインテルから提供されるが、PCI Expressを採用したことでユーザーが保有するASICやFPGAなどをAtomプロセッサに接続したり、サードパーティーのIOHを使用したりすることもできるため、「これまで以上に柔軟で最適なシステム提案が可能になる」(金崎氏)とのこと。

インテル Atom E6xxプロセッサの概要 画像2 インテル Atom E6xxプロセッサの概要
インテル Atom E6xxプロセッサ I/Oの選択に柔軟性 画像3 インテル Atom E6xxプロセッサ I/Oの選択に柔軟性

PCI Expressの採用で柔軟なI/Oを実現

 プロセッサとチップセット間のインターフェイスをFSBやDMIなどの従来の独自規格に基づくインターフェイスから、オープンなPCI Express規格に変更したことで、柔軟なI/O構成を実現するAtom「E6xxシリーズ」。

 同セミナーでは、インテルが標準で提供するプラットフォームコントローラハブ EG20Tのほか、サードパーティー各社が提供する車載インフォテインメント(OKIセミコンダクタ、STマイクロエレクトロニクス)、IPメディアフォン(OKIセミコンダクタ)、コネクテッドサービスゲートウェイ(リアルテック・セミコンダクター)向けのIOHや、I/O拡張に最適なPCI Express I/F対応のアルテラのFPGAについても紹介された。

EG20Tのほか、サードパーティー各社のIOHも登場 画像4 EG20Tのほか、サードパーティー各社のIOHも登場。柔軟なI/Oを実現し、さまざまなニーズに対応できるという
インテルのプラットフォームコントローラハブ「EG20T」 画像5 インテルのプラットフォームコントローラハブ「EG20T」。EG20Tには、プロセッサとのインターフェイスとしてPCI Express×1があるほか、USB 2.0やSATA、SDIOなどPCソリューションで一般的なインターフェイスに加え、CANやSPI、I2Cといった組み込み機器で使用されるようなインターフェイスも備えている
ロームとOKIセミコンダクタが開発したE600対応のチップセット「ML7213」「ML7223[V]」について 画像6 ロームとOKIセミコンダクタが開発したE600対応のチップセット「ML7213」「ML7223[V]」について。独自のIPを保有するユーザー向けに外部FPGAをカスケード接続できるインターフェイスを備えているのが特長
「ML7213」について 画像7 「ML7213」について。車載インフォテインメントをターゲットにしたML7213は、2画面出力をサポートしており、AtomプロセッサのSDVO出力を安価なDigital RGBパネルに直接接続でき、多数のI2SやTDMを搭載し、複数チャネルのオーディオデータを扱うことが可能なチップセット
「ML7223[V]」について 画像8 「ML7223[V]」について。IPメディアフォン向けのML7223は、ギガビットイーサネットやSecurityアクセラレータを搭載するチップセット。オプションの[V]は、エコー/ノイズキャンセラ機能で、ハンズフリー通話を実現する。プロセッサとのインターフェイスとしてPCI Expressが2系統あり、1つはネットワーク系を集中させている
Atom+FPGAコンパニオン・アーキテクチャ 画像9 Atom+FPGAコンパニオン・アーキテクチャ。プロセッサに汎用のPCI Expressが採用されたことで、今後、チップセットやIOHにFPGAが多く活用される可能性もある

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