ソリッドワークス新社長に、元シトリックスの大古氏ダッソー・システムズの末次社長とは元同僚で元ライバル!?

» 2010年06月15日 00時00分 公開
[小林由美,@IT MONOist]

 ソリッドワークス・ジャパンは2010年6月11日、同社新社長就任記者説明会を開催した。米DS SolidWorksの日本法人である同社の代表取締役社長に就任したのは、元シトリックス・システムズ・ジャパンの大古(おおこ)俊輔氏。2010年1月から大古氏就任前日までは、ダッソー・システムズ(仏Dassault Systemes 日本法人) 代表取締役社長 末次 朝彦氏が同ポストを兼任していた。

 「大古氏とわたしは、かつて日本IBM時代の同僚でした。わたしはIBMのデータベース製品『DB2』にしばらく携わった後、サン(サン・マイクロシステムズ)に移籍し『サン・ネットスケープ・アライアンス』を担当しました。その当時、大古氏はWebアプリケーションサーバ製品『WebSphere(ウェブスフィア)』を担当していたので、競合(ライバル)同士でした。そして、いまこうして、ダッソーグループの仲間として、一緒にこの場にいることに、強い縁を感じます。また、とても信頼していた方をダッソーグループに迎え入れることができ、大変心強く思います」(末次氏)。

 「末次氏はコンペティター(競合)といいましたが、コラボレーションだったとわたしは思います。当時、Javaという新しいプラットフォームを展開する意味では、両社はパートナーでしたから」(大古氏)。

ソリッドワークス・ジャパン 新社長 大古 俊輔氏、ダッソー・システムズ(仏Dassault Systemes 日本法人) 代表取締役社長 末次 朝彦氏、米DS SolidWorksワールドワイド営業統括副社長 ベルトラン・シコ氏

 大古氏は約30年前に日本IBMに入社し、しばらくしてから自動車メーカー向けシステムを担当。その当時、CADといえば、大きなメインフレームコンピュータで動かす大がかりなシステムだった。システム負荷が大きかったため、「(自動車メーカーで)『いまからCADが動くから、コンピュータを使わないように!』という指令が出たもの」と大古氏は振り返る。

 「当時は1つのCADが大きなコンピュータを占有していました。CADは限られた人たちのためのものだったのです。そんな中、『SolidWorks』というCADはWindowsプラットフォームで、広く多くの人が高度な技術を利用できるシステムとして誕生しました。SolidWorksは、幅広い製造業の方々のビジネスやデザインの方法を変革し、その業務に当たる技術者のライフスタイルをよりよいものに変え、消費者の役に立ち、日本全体の競争力を高めることにつなげていける製品です。いま当社はCAD単体だけではなく、ダッソーグループの一員として、シミュレーションツールやPDM、PLMなど、幅広い製品を提供しています」(大古氏)。

シトリックスでは代表取締役社長・会長と歴任した大古新社長:かつては@ITのニュース記事にも登場した

 同日、ソリッドワークス・ジャパンは、日本国内のSolidWorksのライセンス数が10万を突破した(世界累計では130万ライセンス間近)と発表(2010年3月末・同社調べ)。2009年度はリーマンショックの影響によりやや苦戦を強いられた(対前年比で9%減)ものの、2010年に入ってから売り上げ・出荷数ともに急速に回復してきているという。

 同社調べでは、日本国内の製造業は約14万社。そのうちSolidWorksの顧客数は約1万5000社で、全体の10%程度。つまり、開拓すべき市場は十分にあるという。今後、同社は2次元CADのユーザー、非CADユーザーを含め、中小〜零細企業まで顧客のすそ野を広げていく方針だ。

 説明会で同席した米DS SolidWorksワールドワイド営業統括副社長 ベルトラン・シコ(Bertrand Sicot)氏は、大古氏に激励の言葉を送った。「『ようこそ、オオコさん!』と、あらためていいたい気持ちです。ダッソーグループの一員になってくれて、非常にうれしく思います。ソリッドワークスが日本市場に介入し15年が経ちました。日本はいま、ソリッドワークスにとっても、ダッソーにとっても重要な市場であります。そして日本は、エンジニアリングの要求事項が最も厳しい市場でもあります。大古氏の新たなミッションは、わたしたちの日本顧客の要件により合致し、もっと成功できる製品を提供すること。それと併せ、日本のバンド(パートナー)コミュニティ(日本は27社)を強化していくことです。彼が、日本市場の明るく素晴らしい未来を作り上げてくれると信じています」。

 「あくまでわたしの考えですが、2010年は“3Dの新たな元年”になるでしょう。3次元CGによる映画もヒットし、3次元テレビも大々的に売れています。家電メーカーの多くは、ダッソーグループのお客さまです。10年後にいまを振り返ったとき『2010年は、意味がある年だった』といえるよう、お客さまに役に立ってもらえるよう、頑張っていきたいです」(大古氏)。

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