個人ユーザーでも買える! 3次元CADの新製品オートデスク「AutoCAD Inventor LT Suite」の新製品発表

» 2010年05月06日 00時00分 公開
[小林由美,@IT MONOist]

 オートデスクは2010年5月6日、機械部品設計のための3次元新製品「AutoCAD Inventor LT Suite 2011」(以下、Inventor LT Suite 2011)を発表した。販売開始日は同年5月19日。

 「AutoCAD Inventor LT Suite」(以下、Inventor LT Suite)は、2次元CAD「AutoCAD LT」と3次元CAD「Inventor LT」のセットで構成される。3次元CADの機能については、部品ファイル限定(アセンブリ機能なし)。機能を制限する代わりに、3次元製品としての価格を大幅に落とした。*Inventor LTの単体販売はありません。

 Inventor LT Suite 2011は、同年4月発売の上位版「Autodesk Inventor 2011」(以下、Inventor 2011)で実装した「ヘッズアップ」および「ダイレクトマニピュレーション」機能を追加し、操作コマンドへのアクセス時間も短縮可能とした。

  • ダイレクト マニピュレーション:設計モデルを触ると、その個所に関連するコマンドのアイコンのみをマウスカーソルのそばにピックアップして表示
  • ヘッズアップ機能:マウスカーソルのそばに、寸法値入力のエリア(フィールド)を表示(「Autodesk Inventor 2011」の詳細は、記事末に紹介する関連ニュースをご覧ください)
ダイレクト マニピュレーション

 ビジュアライゼーション(シェーディング)機能も、Inventor 2011相当とのこと。同社のマテリアルライブラリ(土木・建築と共通)も適用可能だ。

ビジュアライゼーション(シェーディング)機能

 同製品とAutoCAD間の親和性もさらに改善した。同製品では、DWGファイルを開くことなく、複数のブロック定義データ(作図データのグループ)のプレビューを表示させ、そこから流用したいブロックを選択し直接取り込むことが可能だ。従来は、DWGファイルそのものを開く必要があった。AutoCADで作図したデータについて、これまで、単なる線分の集合として取り込んでいたハッチングデータは、ハッチングのプロパティまで含めて取り込める。

 他社CADのデータ取り込み(トランスレータ)については、新たにCATIA V4とCATIA graphics(CGR)のデータフォーマットに対応した。

 新規ライセンスの価格は、23万6250円(税込み)。サブスクリプション、アップグレード版については、2010の価格よりも値下げしての提供だ。

Inventor LT Suite 2011の出荷開始予定日および価格一覧(税込)

  • 製品版:23万6250円、5月19日
  • アップグレード版:11万8650円、5月19日
  • サブスクリプション(1年間):3万7800円、5月19日

 なお「Inventor LT Suite 2010」の製品版を購入済みのユーザーで、サブスクリプション未登録の場合、今回の価格で提供可能とのこと。また同年5月12日から優待価格での販売キャンペーンを実施予定だ。

 同製品の試用版については、近日中に提供予定(現時点はInventor LT Suite 2010の試用版)。

廉価版3次元の反響は?

 2009年12月に発売したInventor LT Suite 2010の売れ行きについて、オートデスク 製造ソリューション 副本部長 塩澤 豊氏に尋ねてみた。

 「この製品については、大々的にプロモーションは行いませんでしたが、わたしどもが想定した以上の収益がありました。発売当初、Inventorの上位版の売上を食ってしまう(減少させる)ことも懸念されましたが、その心配は要らなかったようです。上位版Inventorのユーザーさん(企業)が、Inventor LT Suiteのライセンスを複数まとめて購入されるケースもありました」(塩澤氏)。

 同製品のユーザーの特徴としては、個人名のユーザー登録が多めなこと。AutoCAD LTシリーズではよくある傾向とのことだが、上位版Inventorではあり得ないことだった。「今回の実績は、3次元CADユーザーが、まだまだ市場に隠れていたことの表れだと思っています」(塩澤氏)。

 ユーザーからのリクエストが多いのは、アセンブリ機能だという。同製品は、廉価版を販売することで、上位版への乗り換えも訴求していくことがコンセプト。よってアセンブリの機能まで使いこなしたい場合は、上位版への乗り換えを勧めるのが同社の方針であって、それを変える予定も当面はないという。しかしながら、ユーザーからの率直な意見を開発担当へフィードバックし、議論している最中とのことだ。

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