なんかカッコイイ服だねー!
確かに機能的でいいけど、この硬い帽子は蒸れそうよ
「これはなぁ、『作業着』っていうんだ。会社ごとにデザインも違うし、それぞれに会社の思いがこもっているんだぜ。今日はこれを着て社員のフリをするぞ。さ、こっちこっち……
アズーたちが入って行ったのは、社内の工作室です。工具や部品の詰まった棚、緑色のシートが敷かれた作業台、そして油のにおいが漂う工作機械がいくつか置かれています。
この『5S』ってなんだろー? サバ、サワラ、サンマ、スズキ、サケ、のはずないかー
作業場の至る所にある張り紙の前で首をかしげるアズーの背後に、頭を抱えて作業台に突っ伏している人がいます。アズーたちと同じ作業着を着ているので、ここの社員と思われますが。
ウーン! 困ったぁー! ウーン!
どうしたのかな?
こんなところでどうしたの? デイちゃんじゃないか!
ナオは彼と知り合いのようです。……ということはもしかして?
あれ? キミたち誰?
やだなー、僕たち同期じゃん。一緒に新人研修受けたでしょ。忘れないでよ〜(キラン!)
んんんんんん、そうだったなぁ〜
……
デイ(通称:デイちゃん)もOPT星人で、その能力を使って日本人男性に化けていました。彼も人工惑星の管理に従事するエンジニアで、OPT政府の高官からの指令を受け地球にやって来たのです。デイちゃんは、ここシグメ製作所で生産管理技術の修行を開始していました。
で、どうしたの? デイちゃん
このケースに、この部品がうまく入るように加工してるんだけど、公差の要求範囲が狭くてさ……、この古い設備だと加工精度が出せないんだよなぁ
ありゃー。そりゃ困ったね! 新しい設備買っちゃう?
このご時世難しいよ……。はぁ、困ったなぁ
ヘーイ! ユーたち!
社員かOBか……よく分かりませんが、突然現れたちょっと変なおじさんが、妙なテンションでアズーたちに話し掛けてきました。
どっかで見たことあるなぁ……
ミー? ミーはこの会社の天使さんだYO。小鹿ちゃんたちの困った声が聞こえてきたから飛んできたYO! どれ、図面はあるかい?
あっ、これです(図1)
この部品Aをケースに入れないといけないんですよ。部品Aが入るように、スキマが0.2mm以上確保されていればいいんだけど……
ユー! ちょっとコーサカイセキ、しちゃいなYO! まずはケースの溝の長さは何mmから何mmまでになるカナ?
『10.0+0.3,-0』だから、10.0〜10.3mmよ。……っていうかおじさん、公差解析の意味知ってるんなら、こないだ会ったときに教えてよね
OK! じゃあ入れる部品の方は?
無視かい
『φ4.9+0,-0.1』だから、4.8〜4.9mm! でも、この寸法なら2つ入るから、2倍にして9.6〜9.8mmだね
そしたらスキマの範囲はどうカナ?
0.2〜0.7mm……、やっぱりこの公差以内で加工しないと、スキマは確保できないということ?
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