ザイリンクスが提唱するTDPというマーケット特化型プラットフォーム、それを日本市場で最も分かりやすく具現化したCVKについて、ザイリンクス マーケティング本部 ビデオアーキテクトの立平 靖氏に話を伺った。
ザイリンクスがフォーカスするコンシューマ向けアプリケーションとしては、32インチ以上の大画面薄型モデルを中心とした「デジタルテレビ」、IPテレビや衛星放送などで開発の柔軟性が求められる「STB(セットトップボックス)」、高速の映像信号処理が必要なデジタル一眼(DSLR)やHDカムコーダーなどの「デジタルカメラ」、デジカメ同様に高速な映像信号処理が求められる「MFP(マルチファンクションプリンタ:デジタル複合機)」、スマートフォンやPNDなど低消費電力が求められる「ポータブル機器」などがある。この中でも、ザイリンクスが特に力を入れているのが、市場拡大も著しいデジタルテレビの領域だ。
「コンシューマ向けアプリケーションの中でも、FPGAの特徴が最も生かせるのがデジタルテレビ。市場成長率が高いだけでなく、差別化のための新技術開発が盛んで、市場競争力を高めるソリューションのニーズが非常に高い」(立平氏)。
デジタルテレビは、現在も繰り広げられている高画質化競争のほかにも、「3D化」やハイビジョンより4倍の解像度を持つ「4K2K」のような次世代テレビも今後登場してくる。
「次世代デジタルテレビに映像を入力するビデオのインターフェイスとして、非常に高速なものが求められている。その中でDisplayPortやV-by-One HSといった新しいインターフェイス規格が登場してきているが、このニーズに対してザイリンクスのFPGA上で動くIPとしてTEDと協力して提供するのが今回のCVK」(立平氏)。
現在、テレビのLSIはASSP(Application Specific Standard Produce:特定用途向けLSI)が主流だが、高画質化回路などで1社が同じASSPを提供するという図式になってしまい、テレビメーカー同士での差別化が難しくなっている。
「そこにFPGAを1つ加えることによって、他社とは全然違うフィーチャーを付加するといった流れは、今後増えてくると考えている。差別化したい、新しいものを迅速に世の中に出したい、というニーズにはFPGAの活用が効果的」(立平氏)。
コンシューマ製品の開発状況は、非常に厳しい競争環境にある。小型化、低消費電力、映像帯域の拡大など、製品性能へ求められるレベルが非常に高くなる一方で、製品価格にはシビアで、常にコスト削減を意識していないといけない。
「デジタル化が著しいコンシューマ製品では半導体の集積度の向上に伴って高い技術の製品もどんどん安くなるという図式が消費者側も分かっている。製品化のスピードを上げ、高性能の商品をいち早く出す。リソースは少ない、予算も少ない、スケジュールはタイト、でも差別化のレベルは高くないといけない……。普通なら解けないような難問に、今の開発者は取り組まなくてはならない。CVKは俊敏性や柔軟性といったFPGAの良さをハード/ソフト両面でサポートし、差別化のアルゴリズムだけに専念できる効率的な開発環境を提供する。設計者の悩みを一気に解決し、開発を加速させるソリューションになっている」(立平氏)。
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