「現状の製品のスライドアームは、エラストマとプラスチック板で構成しています。設計時は一体の部品にする予定でしたが、引き出したときのたわみが大きく、(上から押した際の)強度を確保できなかったため、現状の形状に変更しました」(立石氏)
「製品ではこのすき間は詰められています。金型の調整とステンレスパーツの寸法精度の追い込みですき間を少なくしました。現在は0.3mmです」(立石氏)
「現状の製品ではこの指摘に対応しています。ただし、スペースキーのヒンジ部の切り欠きだけは対応不可でした」(立石氏)
「上記の丸囲い部の凸は、現状の製品だと強度をUPするために肉盛をしてちょうど三角形のような形になっています。根元部分からほぼ垂直に立ち上げています。またロック解除のボタン(水色の部品)は、当初はツライチ(面を合わせる)でしたが、上記のようなA社の提案によって少し出しました。上に書いてあるように、押しやすくする狙いですね」(立石氏)
上記のようなメールでのやり取りで、もはやまどろっこしくなれば……キングジムの開発チームが直接香港へ飛んでいった。意匠を担当したプロダクトデザイン事務所のジオデザインの担当者もキングジムのメンバーとともに中国に渡り、3次元CADの画面の前で「あーでもない」「こーでもない」とA社の設計者とかんかんがくがくと意見を戦わせた。設計承認も、その場で行ってしまうこともあった。
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