「今回はデータ分析と実験を地道に繰り返し、車両の旋回性能を追求しました。他大学の車両の性能をいろいろと調べ、ダンパの特性を決定していくのに苦労しました」と、横浜国立大学のチームリーダーの中村健太郎さん。
性能面を高めていくことはもちろん、車両も3月という早めの時期に完成させ、それで浮いた時間をドライバーの試走期間に当て、とことん走り込んだとのことだ。走り込みには、学内の安全な私有地や企業から借りたカート場を利用する。
その成果があって、今回はエンデュランスの結果は好成績! そして総合第3位!! 「昨年のコースや上位校とのタイム差などを細かく分析したかいがあって、今回のエンデュランスの走行は順調でした!」(中村さん)。
同校は実験だけではなく、解析ソフトウェアも活用している。「強度解析ではCAEを利用しています。来年からは車両の中で横Gを受けたときのオイルの動きなど、流体解析もしてみたいと考えています」(中村さん)。
同校のチームメンバーの活動は3年生までだという。正味2年ほどの活動なので、1人1人の知識については、ほかのチームと比べ深くないのではないかという懸念があるそう。その点を考え、技術伝承は大変重要だと考えているとのことだ。同校では、大会終了後の引継ぎをしっかりと行うことを徹底し、日ごろから学生フォーミュラOBなどに意見を積極的にもらうようにし、技術向上に努めている。
横浜国大は今回で出場5年目。データや技術を確実に蓄積し、より高度なセッティングを目指していきたいという。
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学生たちのピット(テント)が並ぶ一角の一番奥に、ぐぐっと年齢層が上がった集団が待機するテントがある。そこは『修理工房』と呼ばれる。そこからは常に、ドリルなどの作業音に交じり、楽しそうな笑い声も聞こえてくる。修理工房では、トヨタ自動車と本田技研工業(以降、ホンダ)の社員やOBたちが待機し、そこへ訪れる学生たちの自動車修理のサポートやアドバイスを行っている。大会3日目の昼頃、記者がそこを訪れたとき、ちょうどそこにいたのが工学院大学のチームメンバー。同校は車検が通らず、工房でアドバイスを受けながら溶接をしていたところだった。
「エンジンのスロットルボディとカウルホールドをつなぐ部分で、レギュレーション違反をしていて、そこを直していました。溶接が必要だったもので『修理工房』に行っていました」とチームリーダーの串田 智哉さんはその理由について語った。
車検で突っかかってしまい、動的審査に進むのにさえ一苦労……。結局、動的審査は受けられず、結果は総合46位。モノづくりで有名な同校でさえも、大会経験を重ねていかないとこのように苦戦を強いられる。それだけこの大会が厳しいものであるといえる。
「ロボコンと比べてしまうと、当校の中での学生フォーミュラは歴史がまだ浅いです。ただ、ノウハウは少しずつですが、確実にたまってきていますから、学生フォーミュラでも着々と、実績を作ります!」と串田さんは意気込む。
工学院大学では「学生プロジェクト」という取り組みを行っていて、ロボコンも学生フォーミュラもその一部だ。プロジェクト発足のためには、学生自身がプレゼンテーションを行い、学校側の審査を通過する必要がある。採用されれば、学校から活動のための予算や設備を提供してもらえるようになっている。
学生フォーミュラの場合は、学校から予算を付けてもらった後も大変だ。部品供給や資金の援助を企業にお願いしにいかなければならない。ここのところの不景気は、スポンサー集めに影響したかと尋ねると、「これまで支援していただいたスポンサーに、引き続き支援していただけました」と串田さんはコメントした。
学生フォーミュラ大会そのものもロボコン並みの注目度になってほしいもの……。
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