PTCジャパンは2009年6月23日、「Pro/ENGINEER Wildfire 5.0」(以下、「Wildfire 5.0」)の記者発表会を行った。
“米PTCは、2009年6月8日(米国時間)、統合3次元CAD/CAM/CAEソフトウェアの新製品「Pro/ENGINEER Wildfire 5.0」を発表した。同製品は2009年度の第4四半期(7〜9月)に販売開始予定”(2009年6月10日 MONOistニュースより)
設計が大規模で複雑になってくると、パラメトリックモデリングによる修正も複雑で難しいものとなる。大きな変更を行えば、モデルがエラー(化け)になりやすかった。同社はそういった問題を以前から認識しており、今回の新版では、ダイナミック編集やエラーをリアルタイムで検知できるといった機能をかなえた。
今回の発表で同社は、新機能についてのいくつかデモを行った。
Wildfire 5.0はユーザー定義のフィーチャをライブラリに登録することができる。そこから引き出したフィーチャをドラッグして動かしリアルタイムで再生しながら、配置先の状況に合わせて配置できるようになっている。また完全に浮いてしまうなどおかしな位置に移動されると、「!」マークを表示するようになっている。
パターン機能(同形状を複数、ユーザーが指定する規則に従って割り振る)は、従来、ピッチや個数などを割り振る方法のみだったが、Wildfire 5.0ではランダムな配置の点スケッチの上にパターンフィーチャを配置することも可能だ。点を割り振った後も、配置するか否かを選択することができる。
リブの配置は、はみ出た指示を行っても、自動的に形状なりにトリムしてくれる。ドラフト(勾配)の指示を行ったときも同様の自動処理を行う。
ダイナミック編集機能については、「(当社が買収した)コクリエイト・ソフトウェアの開発チームのナレッジも活用している」と米PTC MCADプロダクト・マネジメント担当ディレクター ジョン・ブコースキー(John Buchowski)氏は説明した。もちろん、逆にPTCの開発ナレッジがノンヒストリー3次元CAD「CoCreate」に生かされていく可能性もあるとのことだ。
アセンブリの分解は、従来はメニューから機能を引き出しながら1つ1つ部品の位置指定をする必要があったが、Wildfire 5.0からはドラッグ&ドロップで部品を動かし分解位置を直感的に指示できるようにした。
大型のデータセットを扱う際のパフォーマンスも向上したとのことだ。
ほかには、レンダリング機能、配線・配管モジュールやシミュレーション系モジュールの改善を行ったことも発表した。
またWildfireとも連携できるマイクロソフトのSharePointベースのシステム「Windchill ProductPoint」も紹介した。
“ProductPointは、マイクロソフトの「Windows SharePoint Services」(以下、SharePoint)を基盤にし、WordやExcelなどMicrosoft Officeのファイル、PDFファイルなどの書類だけではなく、Pro/ENGINEERの3次元モデルのデータも取り込み、管理できるようにした” ” ITインフラやHTMLに関する深い知識がなくても、データ管理用ポータルサイトを構築することができ、複数ユーザーとのデータ共有やアクセス制限設定、オンラインのコミュニケーションが行える。”(2009年1月15日 MONOist ニュースより)
このシステムを使うと、デザインレビューをWeb2.0的(インスタントメッセージやオンラインコミュニティなどの活用)に展開できる。例えば設計チームのウィキ(Wiki)のようなページが作成でき、変更指示の履歴や理由などをそこに記録しておける。そのシナリオの例を同社は以下の画像のように示した。このようなシステムを同社は「ソーシャル製品開発(Social Product Development)」と呼ぶ。
同社はJEITAの「3D単独図(3次元図面)標準化分科会」の賛助会員で、日本の製造業での3次元図面はどうあるべきか、今後も議論に参加していくとのことだ。「今後、Pro/ENGINEERの新版が出た際はJEITAの仕様が盛り込まれるようになる」とPTCジャパン ビジネス開発推進室 ディレクター 後藤智氏は説明した。
また同社は、「FIRST」や「全日本 学生フォーミュラ大会」などの技術者教育の支援やボランティア活動にも力を入れていく方針だと後藤氏はいう。
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