さまざまな部門の書類と設計データを同期するソリッドワークスが3DVIAの新製品を発表

» 2008年12月19日 00時00分 公開
[小林由美,@IT MONOist]

 ソリッドワークス・ジャパンは2008年12月18日、デスクトップ向けコンテンツ・オーサリング・ツール「3DVIA Composer V6R2009x」を2009年2月2日より販売を開始すると発表した。2007年に同社の親会社であるダッソー・システムズが発売した「3DVIA Composer」の日本語版だ。従来は、英語版またはフランス語版のみだった。

 米ソリッドワークス社は、ハイエンド3次元CADが普通であった時代の1995年に、ミッドレンジ3次元CAD「SolidWorks」を発売した。以後、CADそのものの機能向上だけではなく、CAEやPDMの統合を積極的に進めていき、生産要件も考慮できるマルチプロダクト的なシステムへと進化させてきた。同製品は、「エンジニアリングドキュメント支援」を主眼とした、同社の新たなステップへの取り組みであるという。

 「3DVIA Composer」を使うと、3次元CADのモデルデータと設計・製造に関する書類内の画像との連携を図ることができる。ここでいう書類は、組み立て図やサービスマニュアル、組み立て手順書、営業用のカタログなどだ(図1)。

図1 3DVIA Composerの用途

 例えば、サービスマニュアルの挿絵を3次元CADのモデルのデータに追従させることが可能だ。SolidWorksだけではなく、他社の3次元CADにも対応している。書類のデータ形式も広くカバーしているという。

 ソリッドワークス・ジャパン マーケティング部  プロダクトマーケティング 吉田 聡氏は、デモンストレーションにて、3次元CADのモデルデータと文書の挿絵データとの同期の例を説明した。

 図2は3DVIA Composer内の3次元モデルの絵、図3はMicrosoft Publisher内にあるサービスマニュアルの挿絵部だ。3次元CADのモデルデータを修正すると、3DVIA Composer内の3次元モデルの絵がリブを増やした部品の絵に差し替わり(図2)、Microsoft Publisher側に対し同期の指示を送ると、文書の中の画像も更新される(図3、丸囲い部)。

図2 3DVIA Composer内の3次元モデルの絵を変更する:左図の黄色が修正前、右図の赤色が修正後
左図が修正前、右図が修正後
ソリッドワークス・ジャパン マーケティング部 プロダクトマーケティング 吉田 聡氏

 サービスマニュアルや取扱説明書に使用する挿絵を作る際、製品設計者が絵の基となるデータを作成することがある。3次元CADの画面キャプチャーしてトリム、またはTIFなどの画像をCADから出力する。「この角度で1ショット」「この部品は消しといて」と表示を変更しながら、1つ1つ画像を作成していく。設計変更があれば、差し替え画像を準備しなければならないので、設計がほぼフィックスした段階で行われる。「この作業自体、結構な時間がかかると思います。3DVIA Composerで画像データがリンクしていれば、この作業が不要となり、設計者の負担をだいぶ減らすことができるでしょう」と吉田氏はいう。

 また書類をWebページ化することもできる。例えばWebブラウザ上の親組み立て図の中の子組み立て図の指示をクリックすると、子組み立て図のページへ飛ぶことができる。「組み立て図や作業手順書の共有化は、現在ではほとんど行われていません」と吉田氏は話す。しかし生産スケジュールの短縮や作業効率化が叫ばれる今日では、こうした手段が必要とされるのではないかという。組み立て図や作業手順書は、生産現場へ紙で配布されることが多い。設計変更がされれば、配布された紙の文書の差し替えをしなければならない。Webであれば、設計変更があっても、1個所のデータを修正すればよい。

 また3DVIA Composerは、2次元ベクターグラフィック描画機能やレンダリング機能も搭載している。

ソリッドワークス・ジャパン マーケティング部 担当部長 金谷道雄氏

 同社は、設計部門の作業効率化に従来どおり主眼を置きながらも、それ以外の部門のデータの3次元化も視野に入れていくという。今回の3DVIA Composerもその取り組みの一部である。また生産現場の情報の3次元化にも積極的に取り組む方針とのことだ。「生産現場の3次元化はまだこれからで、作業の基になる情報は紙です。設計と生産のコミュニケーションが取りづらく、それが原因で発生する手戻りの対応にも多くの工数が割かれます」とソリッドワークス・ジャパン  マーケティング部 担当部長  金谷道雄氏は説明する。「Solid Works 2008」では、3次元図面(3次元モデルに寸法や公差を記述し、それを図面とする様式)、生産要件取り込みの機能を持っている。

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