Denis Oliver Kropp氏が作成したDirectFB(http://www.directfb.org/)は、約5年前にMultimedia Home Platform(MHP)向けに設計が開始されたが、2DゲームやOpenGLなどを適用することで3Dゲームにも適した技術となってきている。ソフトウェアのオーバヘッドを極力減らし、ハードウェアの性能を最大限引き出すことを設計思想としており、抜粋すると以下の機能を持っている。
DirectFBはドキュメントがよく整備されており、プラットフォーム移植やアプリケーション開発の大きな助けになっている。 Kropp氏自身がリモコンを手に行ったSTBのデモでは、GTK+で構築されたメニューやJavaアプリケーションがスムーズに動作していた。DirectFBは多くのデモ展示でも利用されており、組み込みLinuxのグラフィックス環境として重要な位置を占めている。 |
ストリーミングプレーヤ Intelは、Celeronを用いたソフトデコードによるストリーミングプレーヤをデモ。DirectFBとGStreamer(http://gstreamer.freedesktop.org/)の利用により、X Window Systemよりも軽量な実装になっている。 |
ARIBデータ・ブラウザ 三菱電機は、DirectFB上でARIBデータ・ブラウザの試作をデモ。ビデオ、静止画、テキスト、グラフィックスからなるマルチメディア・コンテンツを再構成して閲覧できる。DirectFBは、グラフィックスやビデオなどの複数のプレーンを扱えるように拡張されていた。そのほか、SH-4を搭載したボードでビデオ・ストリーミングのクライアントを実装したデモも行われていた。 |
2Dグラフィックスフレームワーク(DirectFB、GTK+、Dillo) ルネサステクノロジは、Silicon Motion製の2Dグラフィックス・アクセラレータSM501に最適化したDirectFB上で、GTK+を利用したWebブラウザDilloを動作させていた。 DirectFB経由でハード・アクセラレーションによる描画を行うため、省資源で高度な表現を実現。また、今回DirectFB上で動作するGTK+を整備したことで、X Window System用のGTK+アプリケーションが移植しやすくなった。 |
Linux DVBによるデジタルTV 東芝エレクトロニクスは、Linux DVB(http://linuxtv.org/index.xml)を実装したデジタルTVをデモしていた。Linux DVBとDirectFBの上位にiDTVミドルウェアとMHPアプリケーションが配置され、デジタルTVシステムを構成する。 |
組み込み機器向けの3Dグラフィックスの標準APIを目指すOpenGL ES(http://www.khronos.org/opengles/)などを整備しているKHRONOSグループ(http://www.khronos.org/)の取り組みが、ボードメンバーでもあるEd Plowman氏から紹介された。
今後、高品位なメディア処理を実現するためにさまざまなハードウェアが開発され、これに伴いソフトウェア開発コストも増大することが予想される。このような両者を取り持ち、開発作業を加速するためにオープンなAPIを策定し提供することがミッションだという。具体的には、ハードウェアとアプリケーションプログラムの間に位置する以下のコンポーネントを策定している。
OpenGL ES | OpenGLのサブセットである低フットプリントの3Dアクセラレーション。50kbytes程度の実装例もある | |
OpenVG | 2Dベクターグラフィックスのアクセラレーション | |
OpenMAX | コーデックやサウンド処理などのライブラリ群 | |
OpenML | メディアフレームワーク。Symbian MDF、GStreamer、DirectShow、MMAPIなど |
OpenGL ESの最初の適用分野は携帯電話であり、2004年夏にハードウェア・アクセラレータを搭載したVodafone V602SHが市場投入されている。
そのほか、アプリケーションプログラムの移植性をより高めるために、3Dアクセラレータ向けAPIのほかに、OS APIも抽象化するEGLと呼ばれるAPIも紹介された。
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