OKIは「OKI WORLD 2026」を開催した。その中で、EMS事業において、政府が主導する重点17分野の成長を支える国内生産基盤として、モノづくりを積極的に支援していく方針を示した。
OKIは2026年10月15〜16日、2年ぶりにユーザーイベント「OKI WORLD 2026」を開催した。その中で、EMS事業において、政府が主導する戦略17分野の成長を支える国内生産基盤として、モノづくりを積極的に支援していく方針を示した。
OKIは、ATMなど高信頼性が要求されるモノづくりで培った製造技術を生かし、2002年からEMS(Electronics Manufacturing Service、生産受託サービス)事業を展開。情報通信機器、計測機器、産業機器、医療機器、航空宇宙関連機器などの基板製造を中心に、関連製品の製造などにも対応範囲を広げてきた。さらに、DMS(Development and Design Manufacturing Service)として対応する工程の範囲も拡大し、モノづくり共創パートナーとして成長を続けてきた。
今後は、政府が示す戦略17分野におけるモノづくり支援を強化する方針だ。日本政府では2026年7月に「日本成長戦略」において「AI/半導体」「デジタル/サイバーセキュリティ」「情報通信」「量子」「防衛産業」「航空/宇宙」「海洋」「造船」「マテリアル」「合成生物学/バイオ」「創薬/先端医療」「資源/エネルギー安全保障/GX」「フュージョンエネルギー」「防災/国土強靭化」「港湾ロジスティクス」「フードテック」「コンテンツ」の17分野に重点的に投資を行う方針を示している。
OKI 執行役員でEMS事業部長の前野蔵人氏は「国内でこれら17分野を成長させようとしても、製造リソースが不足し、製品を製造できないという事態が生まれている。EMS事業においてこうした重点領域のモノづくりを支える」と説明する。
OKIでは、既にこれらの戦略17分野に関連する製品の製造を数多く担ってきた。OKI WORLD 2026では、OKIがEMS事業で製造を支援するパートナー企業の製品が展示された。具体的には、スマートポンプシステムや半導体検査装置、ガソリンスタンド給油端末、美容機器などである。「生産の能力だけを求めるところもあれば、共同で設計から行うケースなども生まれてきている」(ブース説明員)としている。
さらに新たに強化しているのが、スタートアップ企業との連携だ。その一例が、狭小な屋内空間に特化したドローンによる遠隔監視を推進するLiberawareとの協業である。Liberawareは、2016年創業で、狭小空間を安定して飛行し、非GPS環境下の屋内空間を自動飛行できるドローンの技術開発を行っている。フレーム形状からフライトコントローラー、モーター、プロペラ、バッテリーまで自社で開発しているが、今後、需要の拡大が期待される中、OKIのEMS事業と連携した量産を検討している。
もう1つが、日本発のAI半導体スタートアップであるLENZOとの連携だ。LENZOは奈良先端科学技術大学院大学の研究成果を基に、2024年に設立した半導体スタートアップだ。奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科の教授である創業者の中島康彦氏が研究するCGLA(CPU-Grounded Linear Array)アーキテクチャをベースとした「TokenProcessor」が特徴で、不要なデータ移動を最小限に抑え、拡張性に優れた並列実行によって低遅延の推論処理を可能にする。
今後、エッジ領域でのAI半導体の利用が広がり、AI半導体やAIサーバの需要が急増すると見込まれている。また、日本国内での「AIデータ主権」が重視される中、国内生産能力を高めるためにOKIとの協力を模索しているという。LENZOの共同創業者でCEOの藤原健真氏は「今後AIサーバの需要が大きく伸びる中で製造能力をどう確保するかを考えて、LENZOから相談を持ち掛けた。ソブリンAIが注目される中、国内で生産することが重要だと考えている」と説明している。
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