ラナーデ氏はこれらの次世代コンピューティングの他にも開発に注力している技術分野について言及した。
まずは、チップ間やラック間、データセンター間を高速につなぐフォトニクス技術である。インテルは、フォトニクスの研究開発に早い段階から取り組んできた半導体メーカーであり「チップ間およびラック間の接続性を劇的に改善する新しいソリューションを開発する」(同氏)としている。
次に挙げたのが、CPUやGPUなどの演算チップとメモリチップを密結合するための技術開発である。ラナーデ氏は「AIインフラに莫大(ばくだい)な投資が行われているが、そのほとんどは半導体が占めており、半導体向けの投資の大部分がメモリに向けられている。もはやメモリはコモディティではなく、コンピューティングの非常に重要な構成要素となりつつある」と指摘する。
実は、インテルはDRAMから事業をスタートしたという歴史がある。そしてフラッシュメモリも手掛けていたことがある。メモリの重要性が高まる中で、現在はどちらも撤退していることはインテルにとって皮肉な状況と言えなくもない。「重要度を増すメモリのメーカーと緊密に連携していく。メモリチップと演算チップを密結合することでデータ転送速度を向上させるコンピュータシステムの設計は非常に重要な技術開発テーマだ」(ラナーデ氏)。
新素材も重要な技術となる。特に、パッケージ基板については、現在の有機基板から新たな材料を用いた基板に移行していくとみられている。有機基板の次世代に当たるのがガラス基板だ。インテルはこれまでにもガラス基板に関する発表を行っており、今後も取り組みを続けていくことになる。そして、ガラス基板のさらなる次世代基板材料となるのがダイヤモンドである。ラナーデ氏は「ダイヤモンドは非常に高い熱伝導率を持ち、コンピュータシステムから非常に早く熱を除去することができる。これまでも話してきたようにコンピューティングの大きな問題は電力であり、その対策としてはどれだけ早く熱を除去できるかにある以上、ダイヤモンドは新材料として有力になってくる」と話す。
インテルは、前CEOのパット・ゲルシンガー氏のときに経営危機を迎えたが、現CEOのリップブー・タン氏が就任して以降、再建の道を歩み始めている。ラナーデ氏は「確かにここ数年のインテルの道のりは少々困難だった。この1年間で組織や製品ロードマップの変更も数多く行う中で、多くの文化的な変化も起き始めており、成果も現れつつある。われわれはそのことに非常に期待している」と述べる。
また、報道陣からは、AI技術がコンピューティングの中核となる中で、NVIDIAのCUDAアーキテクチャの優位性を打破するにはどうすればいいのかという質問があった。ラナーデ氏は「各社がCUDAを模倣しようとしているが、これほど強力なものを打倒するのは非常に難しいというのが私の見解だ。PCの歴史を振り返ってみると、インテルはPCにおけるx86アーキテクチャによって今日のNVIDIAと非常によく似た立場にあった。しかし、その後PCにとって代わる、あるいははるかに大きいモバイルというプラットフォームが登場し、状況が大きく変わった。CUDAやGPUも今後数年間は引き続き主流であり続けるだろう。そして次の波は、別のGPUやCPUではなく、おそらく全く異なるものになる。現在の最大の課題は消費電力であり、根本的に低い消費電力を実現する技術こそがCUDAやGPUのプラットフォームに取って代わるのではないか」という見方を示した。
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