富士フイルムは広野工場に抗体薬物複合体原料の製造設備を導入する。グループ全体の技術を集約し、リンカー・ペイロード製造から製剤化までを一貫して提供する抗体薬物複合体(ADC)領域で国内初となるワンストップの開発・製造受託サービスを実現する。
富士フイルムは2026年10月6日、次世代のバイオ医薬品として開発が進む抗体薬物複合体(ADC)領域の開発/製造受託(CDMO)事業の拡大に向け、グループ会社である富士フイルム和光純薬の生産子会社が運営する広野工場(福島県双葉郡広野町)にADC原料の製造設備を導入すると発表した。ADC原料「リンカー・ペイロード」の製造プロセス開発および製造受託に対応する。新製造設備の稼働開始時期は2028年を予定している。
今回の設備投資により、富士フイルムグループはリンカー・ペイロード製造から抗体製造、コンジュゲーション、製剤化までを一貫して提供する国内初の「ワンストップADC-CDMOサービス」を実現する(2026年10月6日時点、日本CDMO協会のデータより同社調べ)。ADCは標的細胞を認識する抗体と薬物であるペイロードをリンカーで結合させた医薬品で、高い治療効果と副作用低減の両立が期待され、世界的に開発が加速しているという。
新たな製造設備を導入する広野工場は、医薬品原薬製造で培った高度な有機合成技術や高薬理活性物質の封じ込め技術などを持つ。今回の設備導入では、反応容器やろ過乾燥装置、分取HPLCシステムなどを設置し、高薬理活性物質に対する封じ込め能力を高める。従来対応してきたOEL(職業暴露限界値)0.1μg/m3以上の高薬理活性原薬に加え、OEL0.1μg/m3未満の物質を含むADC原料の製造にも対応できるようにする。さらに、複雑な構造を持つリンカー・ペイロードに対応した製造プロセスや分析法の開発を行うラボ施設も新設する。
富士フイルムグループは、各社が有する技術や製造基盤を活用してワンストップADC-CDMOサービスを展開する。リンカー・ペイロードの製造は広野工場が担い、抗体製造やコンジュゲーション(リンカー・ペイロードと抗体の結合によるADC原薬の製造)、無菌充填/凍結乾燥による製剤化は、2027年に稼働開始を予定している富士フイルム富山化学の工場が担う。
ADCの開発や製造には複数の工程があり、工程ごとに異なるパートナーを利用する場合は技術移管や品質管理、サプライチェーン全体の管理が課題となっていた。富士フイルムグループは研究開発段階から商業生産までをワンストップで提供することで、顧客の開発や製造における負担軽減と効率化を支援し、ADC開発および製造の円滑化に貢献していく考えだ。
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富士フイルムグループの先端半導体材料工場に新棟が完成 生産能力が3倍に向上Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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