これは、エンドユーザーへ機械の設計案を提案した際、先方が設備設計や自動化にあまり詳しくない場合に言われることがあります。
例えば、ワークを所定のタイミングで搬送したり、停止させたりする機械を、機械設計者が提案したとします。
機能としては、単にワークを運ぶ動作と止める動作を切り替えるだけですが、一般的な自動機では、次のような構成になります。
このように、アクチュエーターやセンサーを使った設計になるかと思います。
ところが、この提案をエンドユーザーにすると、
うーん、なんか大したことをするわけでもないのに、豪華過ぎるような気がするんですよね。なんかこう、からくりとかを使って、簡単で安くすることってできないんですかね?
と言われることがあります。
おそらく設備設計に詳しくない方からすると、アクチュエーターやセンサーを使う機械は、機械に詳しい人でなければ扱えない上に、高価になりやすいと感じるのだと思います。
一方、教育番組などで目にするような、からくりを使った機構の方がなじみがあり、見た目もシンプルで簡単そうに感じられるのでしょう。
ですが、設計者目線では、からくりの方が扱いにくく、設計難易度が高い場合もしばしばあるのです。
そもそも機械の品質として求められるのは、「何回かに1回だけうまく動作する」ことではなく、「ほぼ毎回、確実に動作する」ことです。これは、客先が明言していなかったとしても、暗黙の了解として求められていることがほとんどです。
これを踏まえると、設備設計に詳しくない方がよくイメージしているような、
といった機構を成立させるためには、設計者の設計スキルだけでなく、扱うワークの寸法/姿勢/質量や、投入されるタイミングが、どの個体でもほぼ同じであるという条件が求められることが多くあります。
ですが、そんな都合のいい条件で設計できることなど、ほとんどありません。
もちろん、ばねなどの機械要素をうまく使えば、アクチュエーターの使用を極力抑えつつ、動作の確実性をある程度高めることはできます。とはいえ、ばねにも個体ごとのばらつきがあるため、何だかんだ「実際に作ってみないとうまくいくか分からない」要素が所々にあります(例外もありますが)。
もしうまくいかなかった場合、からくりは条件変更に対して融通が利きにくいため、設計の見直しに加えて、部品の再製作が必要になることもあります。それに伴い、「再設計/再製作のコスト」「組み立て/現場調整の工数増大」「納期遅れ」といったリスクが大きくなります。
また、最近の生産ラインでは、1台の機械で多品種を扱うことも多いため、そうなればさらに難易度は上がります。
ですので、「シンプルで安く」するためにからくりを使った機構を求めたものの、結局、普通にアクチュエーターやセンサーを使った方が、短納期かつ安価で、確実に動く機械を実現できていた……なんてことも割と“あるある”なのです。
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