現場で動き続けるAIを社会へ──富士ソフトはフィジカルAIなど3つのAI領域に注力製造ITニュース(1/2 ページ)

富士ソフトは、「富士ソフト Gen.2 AI 事業戦略」の概要について説明した。同社はフィジカルAI(人工知能)をはじめとした3つの領域のAIに注力して、これらを支える共通デリバリーモデル「AIアセットファブリック」を2026年内に整備し、事業を拡大する方針だ。

» 2026年07月22日 06時15分 公開
[坪田澪樹MONOist]

 富士ソフトは2026年7月16日、東京都内で会見を開き、「富士ソフト Gen.2 AI 事業戦略」の概要について説明した。同社はフィジカルAI(人工知能)をはじめとした3つの領域のAIに注力して、これらを支える共通デリバリーモデル「AIアセットファブリック」を2026年内に整備し、事業を拡大する方針だ。

新経営体制「富士ソフト Gen.2」の主戦場とは

富士ソフトの室岡光浩氏

 富士ソフトは、2026年4月の会見で新経営体制「富士ソフト Gen.2」の概要を発表し、AI×IT×OT(制御技術)の融合によって、止められない領域で稼働する社会/産業システムをエンドツーエンドで担うSIerとして、顧客の業務変革を支援することを説明した。富士ソフト 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの室岡光浩氏は「AIを机上の技術にとどめずに業務や現場の流れの中に組み込み、継続的に動かすことが大切だ。富士ソフトはこれまでに培ってきた各領域の業務に対する理解や実装力、組み込み制御の知見をしっかりと生かし、AIを社会/産業の実行力向上につなげていきたい」と強調する。

 このことを踏まえて、富士ソフトは自社が持つ強みを生かして、AIモデルの構築から制御/統合/運用までを一貫して担い、AI実装に責任を持つ「ACTIONABLE AI ― AIを"動かし続ける"会社」を目指す。

 具体的には、現場の設備やロボットを動かす「フィジカルAI」、人の業務を支援/代替する「ビジネスAI」、システムを作る/運用する「エンジニアリングAI」の3つの分野に注力する。そして、これらの注力分野を支える共通デリバリーモデルとして「AIアセットファブリック」を2026年内に整備予定だ。

「富士ソフト Gen.2 AI 事業戦略」の詳細[クリックして拡大] 出所:富士ソフト

 同基盤は「再利用可能な開発資産(アセット)」「品質と再現性を担保するコントロールプレーン」「ベンダーフリーで最適技術を提案するAIテクノロジースタック」の3つの要素で構成され、実証済みの資産を再利用することで、スピードと品質を両立させ、AI駆動開発におけるハルシネーションや品質低下リスクを最小化する。特定の基盤モデルに依存せず、インディペンデントな立場でベンダーフリーに最適な技術を選択し、安全に実装できることが特長だ。これにより、個別受託中心型のビジネスから再現性のあるオファリング型ビジネスへの進化を図る。

「AIアセットファブリック」の詳細[クリックして拡大] 出所:富士ソフト

富士ソフトは3つの観点でフィジカルAIに注力

 富士ソフトはフィジカルAIの領域について、同社の強みが最も生きる領域であると捉えており、「つなぐAI」「生かすAI」「動かすAI」の3つの観点で産業現場の変革を支援する。

 つなぐAIの観点では、設計情報や製造現場の情報をPLM(製品ライフサイクル管理)やMES(製造実行システム)、BOM(部品表)などの共通言語でつなぐことで、デジタルスレッドの形成に取り組む。これにより、設計変更の迅速化やトレーサビリティーの全体最適化の実現を目指す。

 生かすAIの観点では、ベテラン技術者が持つ暗黙知をRAG(検索拡張生成)やLLM(大規模言語モデル)で活用できる形にし、業務判断の標準化や高度化、継続的な改善を実行できる環境構築に取り組む。

 動かすAIの観点では、デジタルツインやロボットSIを統合し、現場を止めずにAIで動かす環境構築を目指す。室岡氏は「この領域では当社の組み込み制御開発力やFA制御の知見が最も生きると思っている。新しい工場だけでなく、すでに稼働している既存設備へAIを組み込んで現場の生産力を高めることで、大きなマーケットに成長すると見込んでいる」と語る。

フィジカルAI領域における取り組み[クリックして拡大] 出所:富士ソフト
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