欧州を中心に進むデータ共有圏の動向やその日本へのインパクトについて解説してきた本連載だが、第9回は日本独自のデータ連携エコシステムを創出することを目指す「xIPFコンソーシアム」を取り上げる。
本連載では、「加速するデータ共有圏/データスペースの最新動向と日本の産業へのインパクト」をテーマとして、データ共有圏/データスペースの動向やインパクト、IDSA(International Data Space Association)、GAIA-X、Catena-X、Manufacturing-Xなどの鍵となる取り組みを解説してきた。第9回となる今回は、日本独自のデータ連携エコシステムを創出することを目指す「xIPF(クロスアイピーエフ)コンソーシアム」について紹介する。
データ共有圏はデータスペース(Data Space)とも呼ばれている。データの共有/交換は、従来はプラットフォームを介したデータ共有が一般的であり、提供されたデータの活用やマネタイズについてはプラットフォーム側が実施し、データ所有者は関与できないものだった。
一方で、現在欧州発で検討が進むデータ共有圏=データスペースについては、データの出し手と受け手をコネクターで直接つなぐ分散型の共有となる。コネクターを活用し、データ所有者と利用者が直接データ共有を実施する。データ主権が担保され、データ所有者が「他者がデータをどのように、いつ、いくらで利用できるかを自己決定することができる」のが特徴だ(図1)。
デジタルトランスフォーメーション(DX)やAI(人工知能)活用が急速に進む一方で、企業や業界を超えたデータ連携には依然として厚い壁が存在している。現在、データの活用は1企業内や特定業界内での「サイロ化」した最適化にとどまっているのが実情だ。
この壁を打ち破る新たな枠組みとして注目を集めているのが、ソフトバンクや東京大学大学院 情報学環 越塚研究室などが発起人となって設立された「xIPFコンソーシアム」である。これまで欧州などを中心に議論されてきたデータスペース構想に「AI」と「分散コンピューティング基盤」を掛け合わせることで、日本ならではのデータ連携エコシステムを創出する試みだ。
xIPF(Cross Integrated Platform)は「統合されたプラットフォーム」を意味し、その最大の特徴は、以下の「3つのレイヤー」を統合する点にある。
これら3つが全てそろうことで「次世代の真のデジタルインフラが構築される」とxIPFコンソーシアムでは定義している。将来像としては、人間が「交通渋滞を解決してほしい」といった抽象的な課題をAIに投げかけると、裏側で複数のAIがA2A(AI-to-AI)やMCPといったプロトコルを用いてさまざまなデータスペースを横断して検索や連携を行い、自律的に最適な答えを導き出す世界が描かれている。
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