注目デバイスの活用で組み込み開発の幅を広げることが狙いの本連載。今回から、IoTとは何かを問いただすことを目的に「センサーの値を遠くまで届ける」をテーマにした新シリーズを始める。そのモデルケースとして、まずは薪ストーブに熱電対センサーを取り付けるところから始める。
「センサーの値を遠くまで届ける」をテーマにした新シリーズを始めたいと思います。今の時代、組み込み開発ではIoT(モノのインターネット)の旗印の下、何でもセンサーをインターネットに接続することを要求したり、目的化したりする現状が否めません。本シリーズは、その前段階として「もっとやることがあるでしょ」という問い掛けに対する回答でもあります。
筆者は最近、屋外に持ち出しても使える薪ストーブを買いました。いろいろと試してはみたものの、単に暖房だけでなく炊飯や炉内でのバーベキューなど、ここのところもう少しインテリジェントに薪ストーブの運転がしたいと思い、Arduinoに接続可能な熱電対センサーキットを購入しました。
今回はこの薪ストーブに熱電対センサーキットを取り付けて、Arduinoで温度変化を実測してみます。
センサーを取り付けた薪ストーブの特徴は以下の通りです。
「SENQI 薪ストーブ 折りたたみ キャンプ 耐熱ガラス・煙突・スパークアレスター・グリッド棚付き コンパクト アウトドア ウッドストーブ テント用 たき火台 BBQ 調理 暖炉 冬 収納袋付き」
通販サイトから抜粋した主な仕様は以下のようになっています。
このSENQIという海外の薪ストーブのブランドですが、大手通販サイトで入手可能です。人気の商品のようでYouTubeなどで紹介動画が多数見つかると思います。
熱電対センサーとは、異なる種類の2本の金属線を接合したシンプルなセンサーです。ゼーベック効果という現象を利用して温度をセンシングします。
接点(測温接点)は、2種類の金属(AとB)を接合した部分により温度を測定する箇所です。一方の基準接点(冷接点)は、測定器側で金属AとBが銅線などの測定回路に接続される箇所です。測温接点の温度と基準接点の温度に差があると、その温度差に応じ微弱な電圧(熱起電力)が発生します。
この発生した電圧の大きさは、金属の組み合わせと温度差によって一意に決まります。このため、あらかじめ決められた換算表(またはマイコン内のアルゴリズム)を使えば、電圧から正確な温度を換算することができるのです。
熱電対センサーの種類は使用する金属によって種類が分かれ、それぞれ測定可能な温度範囲や耐環境性が異なります。薪ストーブで使われる可能性が高いのは、比較的安価で耐久性の高いタイプです。
K型(クロメル-アルメル)は最も一般的で、−200〜最大1250℃程度まで測定可能です。今回の実験でも、このタイプの熱電対センサーを使用します。
図1に熱電対センサーキットの内容物を示します。
図1内の左側にあるのがMAX6675モジュールです。緑の端子台に熱電対センサーを接続します。モジュール下側(端子台と逆側)に設けられた5本のピンは、Arduinoなどのマイコンとのインタフェースになります。
中央にあるのが熱電対センサーです。端子が2本あるのでMAX6675モジュールの緑の端子台に接続します。右側にあるのが、ArduinoなどとMAX6675モジュールを接続するケーブルです。
MAX6675モジュールは、単に電圧をデジタル化するだけでなく、熱電対の動作に必要な以下の機能を内蔵しています。
K型熱電対が発生させる、温度に応じた微弱な電圧を高精度に測定し、それを12ビットのデジタル信号に変換します。
これはMAX6675モジュールの最も重要な機能の一つです。熱電対が発生する電圧は、測温接点と基準接点(MAX6675に接続されている部分)の温度差によって決まります。正確な温度を知るには、基準接点の温度が何℃であるかを知る必要があります。
変換/補償された温度データ(セ氏)を、SPI(Serial Peripheral Interface)というシリアル通信プロトコルを通して(Arduinoなどの)マイコンに送ります。
図2は熱電対センサーを薪ストーブに設置した様子です。
薪ストーブの煙突を支えるビスでセンサーの付いた金属板を挟み込みました。薪ストーブの上部後方で煙突の後ろ側になります。
MAX6675モジュールの基板から5本のピンが出ていますので、各自お使いのArduinoのピン配置に従って接続してください。
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