慶應義塾大学は、可食材料のみを使用したバッテリー不要の飲み込み型カプセルセンサーを開発した。特殊な立体構造により、体内でセンサーが回転しても安定して電磁波を反射し、ワイヤレスで情報を伝達できる。
慶應義塾大学は2025年12月25日、電気通信大学と共同で、砂糖やスターチペーパー、金薄膜などの可食材料のみで構成した等方性パッシブ型電磁共振器(電磁メタマテリアル)を開発したと発表した。薬剤カプセルに封入した飲み込み型カプセルセンサーの模擬胃腸液中で、安定性や分解性も示している。従来のワイヤレスカプセル内視鏡などが抱えていた、難消化性物質の体内滞留リスクを解消する医療デバイスだ。
開発したセンサーは、立方体形状の砂糖の6面に、スターチペーパー基板と金電極を搭載した立体構造を持つ。従来の可食センサーは1方向からの電磁波しか反射できなかったが、開発したセンサーは立方体形状のため等方性を持ち、体内でデバイスがどのような向きになっても安定した電磁波反射特性を維持できる。これにより、姿勢の変化に左右されず体外へ信号を伝達することが可能になった。
研究グループは、薬剤カプセルに同センサーを封入したプロトタイプを作製し、模擬液を用いた消化試験を実施した。胃酸で溶けず腸液では溶けるコーティングを施したカプセルセンサーでは、胃酸を模した試薬中では形状と電磁波共振特性を維持する一方、腸液を模した液体中では完全に溶解し、共振が消失することを確認した。
この特性を利用することで、コーティング剤の適宜選択により、センサーが消化管のどの部位で溶解したかをワイヤレスで検知できる。
今後は特定のバイオマーカーに反応して崩壊するカプセルの開発や、体内位置検出機能の導入を進める。消化器疾患の早期発見や予防に寄与する、非侵襲的なセンシングシステムの開発を目指す方針だ。
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